花解け【d!】 (ページ7)

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　会話が途切れたその一瞬で、何かよからぬ答えにたどり着いたらしいエミさんは、身振り手振りを交えて慌てて弁解し始める。

「あっち、違いますよ！？三島さんに童話が似合わんって話じゃなくて！」

「大丈夫ですよ、そんなこと気にしてないですから」

「三島さんにはもっとかっこええ、戦うお姫様が似合うなあって。ジャンヌ・ダルクみたいな……ジャンヌはお姫様ちゃうか」

「あはは……ありがとうございます、エミさん。捕虜にならないように気を付けますね」

　ジャンヌの最期になぞらえて何となくぼやけば、エミさんも彼女の死を知識の中から探し当てたらしい。サッと顔色を青くすると、いや、ちゃいます、そんなつもりじゃなくて、とさらに慌ててしまった。どうやら彼はこんな見ず知らずのアラサーにもきっちりフォローをかます、本物の紳士らしい。

「――でも、三島さんやったら僕も捕まえてしまいそうやなあ」

　彼の三白眼が、つ、と私の方に向けられる。爽やかな笑顔とは裏腹に、どこかぞくりとするような瞳。色っぽい長い指が、抱いたままの本の表紙をするりと撫でた。

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