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「ねえ、せっかくのお話ならカフェスペースでしましょう？ ほら、ここじゃあ立ち話になっちゃうし、その話、長いでしょ？」
「え！ いいんですか三島さん！ 聞く気ですね、私の話は長いですよお！」
私が彼女の腕を引いていたはずが、いつの間にか彼女に腕を取られていて。そのまま二人列車のように連結したまま階段を下りる。ああ、今の私、最高に態度悪かったよね……。視界から消えたエミさんの顔は見えない。否、見れなかった。
悶々としたままカフェスペースにつき、ボックス席まで誘導された私たち二人は大人しく席に着く。その瞬間、にたりと両頬を釣り上げた彼女に嫌な予感がした。
「三島さん。推し、コネさんじゃなくてエミさんでしょ」
「エッ！？ な、なんで……」
「まあまあまあ、黙ってこの動画を見ましょう！ ほらイヤホン半分こー！」
こんな時のためにワイヤレスにしてよかった！ しみじみ感動している彼女を尻目に、動画の内容へと視界を移す。動画の再生時間はたった数分。それなのに、それなのに！ ぐう、かっこいい……。普段勝負を諦めるエミさんが……ご機嫌で殺し回っている……。
「良かったでしょう、良かったでしょう！」
「……何でわかったんですか」
「さっき、エミさんの名前だしたら肩が揺れたので。三島さん意外とわかりやすいですよね、顔、赤いですよ」
貴女心理学でも専攻してた？ 頬に手を当てて顔を覆えば、言われた通り頬から感じる熱。……悔しい。
「“頼りなさそうに見せかけてやるときゃやる優しい紳士”が三島さんのタイプだったわけですね！」
「……言うな」
間接的に辱めてくるなんて。本当に、エミさんは手ごわい。
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作者名：三津 | 作成日時：2020年4月16日 17時
