花解け【d!】 (ページ14)

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　そんなやり取りの中、カウンターに近づく人影。彼女はすぐにカウンターに入ろうとして、ちらりとこちらを見ると少しだけ笑った。

「三島ちゃん、“少年みたいな笑顔が素敵でしっかり者な兄貴タイプ”が好きなのねえ」

「いやっ……」

　しっかりと私が否定する前に、彼女はカウンターへとついてしまった。ちら、とお客さんの姿を視界に収めれば、……エミさん。何故だか本をカウンターへ置こうとした姿勢のまま硬直している。借り忘れでも思い出したのかな？

「エミさん？ごめんなさい。貸出よね？」

「……、いや」

「あの、エミさん？」

「アッハイ！えっ！？」

「この本、貸出であってますか？」

「はいっすみません！あ、えと、お願いします……」

　どうしたんだろう。元気ないなあ。この後食害でも決まったんだろうか。不自然なエミさんは貸出処理を終えると、私に気が付くこともなくフラフラと図書館を出て行った。それが、なんだか寂しかったなんてことは、……絶対にない。

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