柱の少女は、狙われ体質。

肆拾肆 ページ44

『あの…私、一応柱なんですけど？』

結論から言うと、機能回復訓練の内容は私にとって準備運動くらいにしかならなかった。









すみ、きほ、なほちゃん達に身体をほぐされたのはぶっちゃけ少しは痛かった。



でも、薬湯ぶっかけ合うやつも鬼ごっこもアオイとカナヲに圧勝。









これを受けて、アオイちゃんが対策を考えに考え抜いた結果。




・薬湯ぶっかけ訓練は私だけ目隠しして行う。

・鬼ごっこも私だけ目隠しして、５対１(アオイ、カナヲ、炭、善、伊)





ということになった。





ハンデをつけても薬湯ぶっかけはカナヲに勝った。




そして驚いたことがひとつ、炭治郎が時々だが、カナヲの頭に湯呑みを置くことができていた。


炭治郎は全集中・常中を使えるようになっていた。凄い速さで成長している。






そんな彼は私に勝負を申し込んできた。


あ、もちろん薬湯ぶっかけ合い勝負のことね？

--------------------------------
炭治郎side

炭治郎「Aさん！俺と勝負して貰えませんか？」






カナヲにも何回かしか勝てていない俺がAさんに叶うはずがないことは分かっている。

でも、Aさんは目隠ししたままでもカナヲに勝つ。

これには驚いた。目隠ししていてどうやって相手の手の動きを正確に読むのだろう。


外から見ていたのでは、Aさんの何が俺たちと違うのか分からない。





Aさんと勝負することで何か吸収できるかもしれないと思った。





『これ、容赦なくぶっかけるけどいい？』

炭治郎「はい！」

臭いけど、そんなの我慢だ！









Aさんは黒い布で目を隠しているけど、口元は笑っている。

アオイ「よーい、初めっ」







俺はできるだけ気配を消して、素早く湯呑みに手を伸ばす。

俺の手が湯呑みに届いた時、Aさんの手はまだ動いていなかった。

だが、湯呑みを握り持ち上げようとしたとき、湯のみの上にはAさんの手があった。

そして、いつの間にかAさんの右手には湯のみが握られており、俺の顔に薬湯がぶっかけられる。







それを数回繰り返した。

臭い……。いい加減に嫌気がさしたけど、だんだん分かってきた！




単に、Aさんは手の動きが俺の倍くらい速いんだ。だから、俺がいくら気配を消しても、湯呑みを持ち上げた音に反応して抑えられる。
反射神経だ。





俺にはまだまだ鍛えなければならないことがたくさんあるなぁと痛感した。

肆拾伍→←肆拾参【かまぼこ隊】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す