柱の少女は、狙われ体質。

拾漆 ページ18

炭治郎「いえ！それでも、俺は貴方が信じて下さって嬉しかったです！」



すると彼女は笑いだした。


『あははっ！君って嘘とかつけない体質なんでしょ？』








炭治郎「……」

な、なんとも言えない。

嘘をつけない体質ってなんだろう。

俺は嘘をつくのが下手くそだとよく家族に言われたな……。









『いや、君を信じて良かったと思うよ！
そういえば、君の名前なんだっけ？』






よく笑う元気な人だなぁ、と感心しつつ、自己紹介をする。







炭治郎「竈門炭治郎といいます！妹は禰豆子です！」




『私は宙柱の蒼天A。よろしくね、炭治郎！ところで禰豆子ちゃんは元気にしている？』





すると禰豆子はタイミング良く箱の中から出てくる。





炭治郎「禰豆子！」





『わぁ！禰豆子ちゃん可愛い！』



すると、禰豆子はAさんのところへ、小さい姿のままトコトコと歩いていく。



そして、禰豆子の身長に合わせて屈んだAさんの頭を撫でた。









Aさんはびっくりした様子。





炭治郎「禰豆子は、人を家族だと思う暗示をかけられているんです。どうか許してやってください。」



この人はこの事で怒ったりするはずはないだろうと思ったけど、上官なので一応説明した。








また可愛いなぁとか言って笑い飛ばすのかと思っていた。









しかし、Aさんはとても穏やかな優しい笑みを浮かべて禰豆子をそっと抱き締めた。









そして小さな声でささやいた。









『禰豆子ちゃん、貴方が鬼になってしまったことは不幸なことかもしれない。

でも、こんなにもお兄ちゃんが愛してくれているんだから、

貴方は幸せ者だよ……』






俺にはAさんの言葉の意味が分からなかった。


でも、その時だけ、微かに悲しいような寂しいような匂いがした。

拾捌→←拾陸

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す