海の向こう側�� ページ2
それから俺たちは事務所のロビーで時々会うたび日本語で話すようになった。
彼女の名前はキム•A
俺より一個上で、アイドルを目指している練習生だった。
日本語が喋れるのは、日本が好きで趣味で勉強したかららしい。
『じゅのんのうた、おしえてよ』
「歌？この前のJ-pop？」
『うん。それで、わたしがじゅのんにかんこくご、おしえるね？』
俺の歌をひどく気に入ったようで、それからは俺がAに歌を教えて、俺は韓国語を教わった。
『じゅのんのうたは、だれがおしえたの？』
「レッスンは受けてないけど、家族が音楽やってる人で、自然と」
『じゃあ、みけいけん？』
「そう。すごいね、難しい日本語知ってんだ」
『いっしょけんめい、べんきょうしたから！』
嬉しそうに微笑むAは、アイドルになるにふさわしいビジュアル、そして愛嬌を持っていたし、歌は日に日に上達して、J-popを丸々一曲綺麗に歌えるようになった。
それから、夜遅くに練習室を覗くと、きまってAがいた。
長い黒髪を高い位置で一つにまとめて、汗を流しながら鏡の前で必死に踊る姿を見るのも、彼女の歌声と同じくらい好きだった。
そうやって誰よりも努力していたから、今に夢を叶えて遠く手の届かないところまで行ってしまうんだろうな、って。
彼女を応援しているのは心の底から本心だけれど、どこか他人事のようににそう思っていた。
Aと過ごした時間はほんの短い間だったけれど本当に楽しくて。
だけど、楽しいだけじゃそこに居座る理由にはならなかった。
事務所での活動の事情もあって、俺は日本に帰ることに決めた。
帰国した後は就活するつもりだ。
日本に帰ること、Aには言わなかった。
夢に向かってひたむきなAが眩しくて、アーティストになる夢を諦めて日本に帰るなんていえなかった。
言わなくても俺が行った後で事務所に聞けば分かることだし。
でも、Aに出会えて、俺は音楽がもっと好きになった。
音楽は国籍も言語も超えて伝わる。俺とAを繋いだのも音楽だった。
例え就職しても、俺はずっと音楽と共にあり続けるんだって、一つ心に決めて韓国を発った。
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のの - ルイくんのお話とても良かったです！リクエストなんですけどランくんのお話も出して欲しいです！これからもがんばってください！ (2022年8月5日 21時) (
レス) @page9 id: f715f48314 (このIDを非表示/違反報告)
もか - ソウタくんの話とてもきゅんきゅんしました！リクエストなのですが、ソウタくんが策士で夢主を徐々に好きにさせる、みたいな話読みたいです！検討お願いします。 (2021年12月15日 22時) (レス) id: 14e25d1e56 (このIDを非表示/違反報告)
みーな - はじめまして。楽しく読ませて頂いてます。リクエストなんですけど、竜平くんでアイドルとファンの関係のお話、書いていただけませんか？できればなんですど、ファンミーティングとか、ライブとかでの出逢いがいいです。よろしくお願いします！！ (2021年12月13日 22時) (レス) id: 283e476dd2 (このIDを非表示/違反報告)
H、H(プロフ) - BE :FIRSTの病系でマナトくんメインのお話って書いていただけませんか？ (2021年11月29日 21時) (レス) id: 6484f6fe2e (このIDを非表示/違反報告)
k - めちゃくちゃ面白いです！他にも色々書いてください☆ (2021年11月10日 20時) (レス) @page15 id: 3aac845c45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はる | 作成日時：2021年9月20日 21時
