人様の彼氏に手を出しました＿２

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「ちょっと、いい？」



自販機横のベンチで一人黄昏れるAの前に五女が姿を現した。



Aは彼女に気がつくと慌てて席を立つ。



「あ、な、何か！？」



「とりあえず、座って。ちょっと話さない？」



Aの慌てっぷりに苦笑しながら五女は自分用とA用に二つミルクティーを買ってベンチに座った。



「はい、どうぞ」


「ありがとうございます⋯⋯」



二人して缶の蓋を開けて飲む。






「⋯⋯悟のことなんだけど」



Aの身体が強ばり、顔を俯かせた。











「ごめんなさい」



五女がAに頭を下げる。



「私、実はとっくに別れてるの、悟と」



そこまで言って五女は顔を上げた。



「ずっと前に振られてる。だからこの前言ったことは私の嫌がらせで、負け惜しみ」



Aは驚きと困惑の表情を浮かべている。



「悟のことが好きだったから、キスしたあなたの事も絆された悟のことも許せなかった。私の彼氏なのにってずっと思ってた」



Aの顔が俯く。



「けど、私はこの前別れてるのにあなたの恋を邪魔しようとしたんだから、おあいこ。恨みっこなしよ」



晴れやかな顔でそう五女は言うが、Aの顔は一向に晴れない。



「でも、ほんとに⋯⋯ごめんなさい。私があんな事しなければお二人は別れなかったのに」



「それは違うわ。彼は元々私のことは好きじゃなかったし、早かれ遅かれこういう結果にはなってたの。それとあなたの恋が重なっただけのこと」



Aはそれでも申し訳なさそうに縮こまっている。

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