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夏油傑の連絡先は今でも持っている。
あれから当時使っていたガラケーは使わなくなって、スマホに変えても、連絡先は消せなかった。
もちろん一度も連絡はしてない。
でも、携帯に残る”夏油傑”は私の大好きな彼で、袈裟を着て嘘くさい宗教を行って非術師を猿と呼ぶ奴ではない。
携帯に残った彼は、非術師を尊重する優しい彼だ。
そう自分に言い訳をして、何かと理由をつけて、そうやって嫌な情報は全てシャットアウトして、大好きな彼だけを記憶に閉じ込めようとした。
それがどんなに馬鹿で、無様で、滑稽に映るかは分かっていた。
それでもいいから、心優しい傑を自分の中に残しておきたかった。
傑との時間を、消したくなかった。
幼稚な我儘でも、無意味な絵空事だとしても。
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作者名：もんて、 | 作成日時：2021年5月18日 15時
