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まだじくじくと痛む頭を抱えながら、Aはグラウンドへと足を進めた。
「嘘だろ」
乙骨と戦闘訓練をしていた真希は、グラウンドへ現れたAに呆れた顔をした。
「今の時間分かってるのかよ」
「すじこ」
Aは真正面から真希に詰め寄られ、隣からはジト目を狗巻に向けられる。
「15時38分ですね」
Aは腕時計の時間を確認しながらそう言った。
「訓練の時間は何時だったか覚えてるか？」
真希と狗巻に加え、パンダまでもがAに詰め寄る。
「覚えてません」
五条に口頭で伝えられない限り、約束していようが無かろうが、Aは覚えていられない。
「Aさん、今日の訓練は朝九時からの予定だったんですよ」
乙骨が困り顔でそう説明し、すぐにフォローにまわった。
「で、でも、顔色も悪そうですし、仕方ないですよ！昨日はお酒飲んだんですよね？」
「おい憂太、遅刻は社会人として有り得ねーだろ。簡単に許そうとするな」
「おかか」
「憂太、パンダでも時間は守るぜ」
今度は乙骨が集中攻撃を浴びる流れになったが、Aはそんな生徒たちの様子を全くと言っていいほど意に介さず、話を遮った。
「悟は？来ていないんですか」
真希が乙骨の胸ぐらを掴んだ状態のまま答えた。
「アイツなら今日は一度も見てない」
「任務か？いつも大体いないけどな」
パンダもパンダで乙骨にちょっかいを出しながら続けた。
「いくら」
狗巻がAの袖を軽く引き、スマホの画面を見せた。
”体調悪そうなので今日は休んで下さい”
「そうします。部屋にいるので用があれば呼んでください」
「しゃけ」
Aは笑顔の狗巻、未だ乙骨で遊ぶ真希、パンダを一瞥すると、スタスタと来た道を戻って行った。
「あ、棘。あいつ逃がしたな」
真希はブイサインをする狗巻に舌打ちすると、呪具を構え直した。
「じゃあ今日はデスマッチだ」
乙骨、狗巻、パンダの叫び声がグラウンドに木霊した。
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作者名：もんて、 | 作成日時：2021年5月18日 15時
