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続き ページ34

「すまない、A。言いすぎた。そういうつもりじゃ」



そろりと伸ばされた手を払い除ける。



「特級サマは二級程度に構ってる暇ないんじゃない?早く行きなよ」



外で補助監督が傑を呼ぶ声が聞こえる。



「A、待ってくれ。誤解を解きたい」


「非術師を助ける方が大事だろ。顔見たくないから行って」



そう言った途端、傑の傷ついた顔を見て即座に後悔したが、何せプライドが高いもので、顔を背けて拒絶した。


傑が机に雑誌を静かに置く音が聞こえ、続けてゆっくりと扉が閉まる音がした。



「はぁぁぁ」



盛大な溜息をついて、心の中で傑にごめん、と謝る。


私と傑は、世のカップルよりも喧嘩が多い方だが、今回は私が全面的に悪い。


傑は心配してくれただけ、分かってる。


でも私の同級生は六眼と無下限の抱き合わせ、他者への反転術式、珍しい呪霊操術、と強者揃い。


そりゃ一緒にいて劣等感は感じるわけで。


早く追いつきたくて、あわよくば追い越してみたくて、等級に見合わない任務を無理言って入れてもらったりした。



「その結果がこれだわ馬鹿」



自分に悪態をつく。


自分が弱いのはよく分かってる。


でも、傑に言われると恥ずかしく、虚しくなった。



「弱いとか、初めて言われたな」



悟はよく言ってくるが、傑には言われたことがなかったから、心のどこかで認めてくれてるんだと思ってた。



「うぁぁぁ」



奇妙な呻き声をあげ、考えることを放棄した。



「やめやめ、悶々と考えんの柄じゃないし」



一人でいたらまた考えてしまうから、共有スペースに向かうことにした。

続き→←番外編_喧嘩の話



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作者名:もんて、 | 作成日時:2021年5月18日 15時

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