番外編_高専へ入学した日の話 ページ29
「赤羅A、二級呪術師」
木造建築の教室。
ヤ クザのような見た目の教師に、タバコを吸う不良女子。
白髪碧眼サングラスの痛い男。
そして、変な前髪の胡散臭い男。
私は自己紹介をしながら、これから大丈夫か私の青春、なんてぼーっと考えていた。
「家入硝子」
自己紹介の間も煙草を手放そうとしない女子は、初日から男二人に”クズ”と言い放つような面白い子だった。
「よろしく硝子〜」
ひら、と手を差し伸べる私に
「ん」
とだけ返すのは少々イラッときたけど。
「五条悟」
話し方だけで分かる、高慢ちきな男。
話しかけんな、みたいなオーラを放ち、見下したような目で私達を見る男に、私の中の悪戯心が芽生えてしまった。
「その見た目はコスプレかなんか？」
ニヤニヤして揶揄う私を鋭く睨みつけると、
「てめぇこそ二級かよ、ザッコw」
なんて、煽り返してくる。
初日から犬猿の仲な私たちの間に、もう一人図体のでかい男が割って入って窘めてくる。
「まあまあ、喧嘩は良くないよ。私は夏油傑。これからよろしくね」
「「うるせぇ変な前髪」」
私と五条悟の声が重なって、顔を見合わせて吹き出した。
「同じこと言ってんじゃねーよキメェ」
「グラサンに言われたくねーわ」
二人で煽りあっていたら、途端にぐいっと夏油傑に首根っこを掴まれた。
「誰が変な前髪だい？」
地を這うような恐ろしい声を上げる男に、五条悟ともども縮こまる。
「気にしてんの？」
そう言った私と五条悟は、その後二週間、夏油傑の奴 隷になることをまだ知らない。
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作者名：もんて、 | 作成日時：2021年5月18日 15時
