【呪術廻戦】今度こそ君に祝福を＿１ (ページ42)

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三年の九月。

単独任務からの帰り、夜蛾センから電話がかかってきた。

「はい」

夜蛾センは何も言わない。

「え、何？もう帰るとこですけど？」

呑気にそう言う私に、夜蛾センが告げた。

”夏油傑が112人を殺して村を潰し、消えた”

「は？」

意味がわからなかった。

言葉が言葉として理解できない。

意味の無い文字の羅列を聞いているような気分だった。

「夜蛾セン、何言ってんの。私、とりあえず帰るから」

私の声は小刻みに震えていた。

下手な嘘、なんて笑い飛ばせない自分に、薄々気づいてたでしょ、と言われているようだった。

高専への道のりは早かった。

いつもより騒がしい学校、夜蛾センの険しい顔つき、重苦しい空気、その全てが、”夏油傑離反の事実”を物語っていた。

呆然と立ち尽くす私に気づいた夜蛾センが近づいてきて、これ、と差し出された。

……傑の呪術師バッジ。

少し赤く染まっているのは、どこの誰かも知らない非術師の血だろうか。

私は受け取れなかった。

フラフラと自室に戻る。

それからのことはよく覚えていない。

なんて、よく言ったもんだが、真逆だ。

私は鮮明に覚えている。

誰もいない共同スペースも、座学も体術訓練もない日々も、バラバラになった四人も。

数日間、私は誰とも会話しなかった。