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それから二日後、Aは高専にてある男と話をしていた。
その男は目元を白い包帯で覆い、陽の光に透けるような美しい白髪を揺らしながら、軽い口調で話す。
「A〜、二日前の案件だけどさ」
男は一枚の紙をぴらっと親指と人差し指でつまみ、Aの顔の前に持ってきた。
「担当した補助監督の所に苦情が来たらしいよ」
Aは顔を顰め、190cm程の大男を見上げた。
「二日前?」
「ほらぁ、廃墟で二級呪霊祓除したやつ!詳しくは知らないけど、少年が犠牲になったんだって?」
Aは少し目を伏せ、そしてまた大男を見た。
「ああ、そうだったかも。報告書に書いてあるならそうだわ」
Aは、二日前ではなく数年前の話をしているような口ぶりだった。
「ったく、その記憶力どうにかなんない?毎回毎回、僕が君に伝えなきゃならないのに。僕も暇じゃないんだけどねぇ」
男は煽るような、はたまた仲の良い友人に対する軽口のような、そんな口調で続ける。
「担当してた補助監督だって、もう会うの十回目だろ?何回初めましてを繰り返すんだよ!」
「なんで知って……」
Aは男を凝視する。
「そりゃ任務行く前に高専で会話してたからだよ。僕もいたでしょ?あの時」
「いや、そっちじゃなくて、十回目の方」
「僕は報告書はちゃんと目を通すタイプだから」
男は顎に手を当て、キラリという効果音がつきそうなキメ顔をする。
だがしかし、目隠しのせいで締まらない。
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作者名:もんて、 | 作成日時:2021年4月10日 16時