ep8 ページ8
side.inoo
なんとなく教室へ向かうのが嫌だった俺は屋上へ向かった。
このまま学校、サボっちゃおうかな〜。
「伊野尾くん!」
「うわ!ってえ!?」
また高木かよ、と思ったらトレードマークだった金髪がなくなってる。おまけに前髪は流してて肩くらいまであった髪の毛もバッサリ切って前髪あり、襟足は耳から3センチくらいまでになってる。
「え……なんで。」
「なんでって酷いな。伊野尾くんが昨日金髪は嫌いだし長髪はキモいって言ったからじゃん。どう?これで俺のこと少しは好きになった?」
こいつまじか。俺が適当に言ったあの言葉間に受けてそんな髪型にしてきたの?
「あっはははははは。ははっ、お前って本当に馬鹿なんだな。」
面白くてたまらない。あんな金髪で誰の意見も聞かなさそうな、ヤンキーみたいな、高木が。俺の一言で髪型変えちゃうんだもん。
こいつ本当にただの馬鹿なのかも。
「なっ、なんで笑うんだよ!」
「いや、ごめん。面白くってさ。
でも高木そっちのほうがいいよ。金髪より似合ってる。」
本当に茶髪の方が良い。金髪だとヤンキーにしか見えないもん。
せっかく褒めてやったのに俺の顔を見たまんま黙り込む高木。すごい喜ぶかと思ったのに。
「なんだよ。」
「え、あ、いや。伊野尾くんのそういう笑顔初めて見たなーと思って。嫌味のない笑顔。可愛い。
笑顔も見れたし褒めてもらえたし、俺茶髪にして良かったわ。」
最高の笑顔でそんなこと言ってくる高木。俺に褒めてもらえただけでそんなに嬉しいのかよ。変なやつ。
「伊野尾くん、今日学校サボるの?」
「サボろうと思ってたけど、やめた。高木は、サボるの?」
「伊野尾くんが行くなら俺も行く〜♡」
屋上の出口へ歩き出した俺の肩を抱いてくる高木に
「調子にのるなよ。」
と一言言って走って屋上を出る。すぐ調子に乗るんだから、あいつは。
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「あ、伊野尾ちゃんと雄也。サボりかと思った。」
机の上に座って友達と話してた山田が話しかけてくる。
今思えばこいつのせいでサボろうとしてた数分前の自分が馬鹿馬鹿しい。
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作者名:みはる | 作成日時:2016年9月1日 23時