ep6 ページ6
side.inoo
カバンを持って教室を飛び出たのは良いものの、家に帰ろうにもこんな早い時間に帰れば母親に怒られてしまう。
それにしても高木、本当に嫌なやつ。俺にたくさん話しかけて嫌がらせしたかと思えば、今度はクラスの人達黙らせて、まるで俺が指示したみたいにしやがった。嫌なやつ、嫌なやつ!
めんどくさいことは嫌いなのに、勘弁してくれよ。
カバンを持って学校内をウロウロしていると、屋上への階段の立ち入り禁止のテープが剥がされていることに気付いた。
あれ、立ち入りオッケーになったのかな。
どうせ暇だし、そう思って屋上への階段を上ってく。
鍵閉まってないかなと思いつつ扉を開いてみると、意外と簡単に開いた。
案外綺麗な屋上なんだな。
この学校は壁とか床とかそこら中に落書きがしてあったり、掃除なんてちゃんとするやつほとんどいないから荒れ放題の散らかり放題。そんなことにはもう慣れたけど。
ここはまだ落書きもされてなくて、人がいた気配はほとんどない。立ち入り禁止って改装工事でもしてたのかな?
カバンを放り投げて、大の字になって寝転んでみる。
目に入るのは雲ひとつない青い空。聞こえてくるのは木々が揺れる音だけ。
この場所良いな。どうせすぐ馬鹿なやつらが汚すんだろうけど。
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「伊野尾くん!」
「うわっ!」
空を見てたはずなのにいきなり視界に現れる顔。またこいつかよ。
俺の顔を覗き込んでる高木の胸をグイっと押して上半身だけ起き上がる。
「こんなとこにいたんだね。探したよ。俺さ、伊野尾くんのこと怒らせちゃったかな?ごめんね。」
「………別に。」
こいつと一緒にいるだけで気分が悪くなる。放り投げたカバンを拾って屋上を出ようとする。
「あ、待って!」
手首を掴まれる。
ブンブンと腕を振ってみても離れる気配は全くない。
「伊野尾くんが俺に力でかなうはずないじゃ〜ん。ね、ここ座って?座ってくれたら手離すから!」
思いっきり不機嫌そうな顔して高木をにらんでみるけど全く動じないみたい。
俺は仕方なく高木の横に座り込んだ。
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作者名:みはる | 作成日時:2016年9月1日 23時