ep29 ページ29
side.takaki
今まで伊野尾くんに好きっていってほしくて頑張ってたのに。もう、ゲームなんか関係なく。
伊野尾くんが好きだから。
『俺高木に惚れちゃった。俺の負けだよ。だから、もう良いだろ?』
俺が求めてたのはこんな答えじゃない。もう良いだろ?って伊野尾くんは俺の存在が迷惑なんだろうか。
俺のことやっと受け入れてくれて、キスもしてくれて、口では嫌いと言いつつ、俺のこと少しくらい好きになったんじゃないかって期待してた。
もう、どうしたら良いのか分からない。
鏡で伊野尾くんのために茶髪にしたこの髪を見るたびなんだかイライラする。
戻そう、金髪に。
.
朝起きて髪を自分で金髪に染めてから学校に行った。
みんなから怖い目で見られるのは慣れてる。むしろこっちの方が気持ちいい。
ただ一人、伊野尾くんは全く怖そうな顔をしない。
「どうしちゃったの、高木。」
今にもそんな声が聞こえてきそうな寂しそうな顔。そんな伊野尾くんとは顔を合わさないよう過ごした。
山田が伊野尾くんを食堂に誘った。
その光景に何と無く腹が立って机を蹴飛ばす。伊野尾くんは振り返りもせずさっさと教室を出て行ってしまった。
「雄也さん、どうしたんすか?機嫌わるいですね。」
「別に。」
「もう伊野尾とかいう地味なやつと絡むのやめたんですか?」
「は?」
「あんな地味なやつ、雄也さんと合いませんよ、ってうわぁ!」
調子乗ってペラペラ話す名前もわからない生意気な奴の胸グラを掴み、睨みつける。
「伊野尾くんの悪口は言うなよ。」
「……ごめん。」
「はあ。お前もうどっか行け。」
机に突っ伏して周りの声をシャットアウトする。
俺伊野尾くんと仲良くなる前ってどんなことしてたっけ。こんなつまんなかったっけ。昼ご飯、誰と食べてたっけ。何も思い出せない。
伊野尾くんにひたすら話しかけていた時のことしか、思い出せない。伊野尾くんは迷惑そうだったけど、俺は、すごく楽しかったんだ。今までよりは、遥かに。
伊野尾くんを俺のものにしたい。嫌いでもいいから。
.
続く (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←ep28
541人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みはる | 作成日時:2016年9月1日 23時