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ep22 ページ22

side.inoo






「女ってめんどくさいじゃん。高木ってよくいろんな奴相手にできるよな。俺には無理だもん。」




そう口にすると高木はなぜか黙り込んでしまった。




俺は気にせず歩き続ける。高木のご機嫌取るつもりもないし。





彼氏がいたことがあるのは本当。高1の春、男に告白された時はそりゃ驚いたけど、同性の方が分かり合えるんじゃないかなと思って付き合った。でも長くは続かなかった。




「胸もなけりゃ、愛想もない。お前って本当つまんない。俺もう無理だわ。」






そんな文が送られてきた。胸も愛想もないのは最初から分かってただろうが。ムカついて文句の1つや2つ、言ってやろうかと思ったけど、その後すぐ"退出しました"の文字。




腹が立って、山田に怒りのスタンプを送りつけた。山田からはどうしたの?の文字。さすがに山田にも男に振られたといは言い出せず、八つ当たり!ごめん!と言ってまたスタンプを連打した。





男も女と同じくらいめんどくさいのかもしれない。





それ以来誰とも付き合うことはなかった。





そんな苦い思い出を思い出していると。







.








「じゃあ伊野尾くん、俺と付き合わない?」





先を歩いてると高木の声が後ろから聞こえてくる。






「は?」



思わず振り返って思いっきり不機嫌な顔をして見る。高木が俺の前まで走ってる手を取ってくる。





「俺もう遊んでないから!女も興味なくなっちゃった。伊野尾くんなら男でも全然オッケーだからさ、
俺と付き合おうよ。」





「無理。」





「えーなんでなんで?だって彼氏いたことあるんでしょ?いいじゃんか〜。」





高木は男と付き合うこと変に思わないのかよ。俺、彼氏ならいるって言ったことで少し引かれてるかと思ったのに、付き合おうだなんて。





「俺、つまんないよ。」





「つまんなくない。伊野尾くんといると楽しいもん。」





「………胸も愛想もないからやめといた方がいいよ。」






そう言うと高木がぷっと吹き出す。こっちは真面目な話してるのに。




「そんなこと分かってるよ。」




分かってるならなんで俺に告白なんてするんだよ。





「高木は俺のこと好きなわけ。」





「好きだよ。」




「どこが?」





「全部。」





少し膝を曲げて目を合わせてくるの、やめてくれないかな。質問するたび握る手が強くなっていくのも、やめてくれよ。






.

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作者名:みはる | 作成日時:2016年9月1日 23時

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