揺れる黒 ケント視点 ページ9
「ったっく…理事長のヤロー」
目の前に積まれた資料を見てみる。
せっかく約束したのに
これじゃ来てもゆっくりできないじゃん。
ハァ…
俺のため息と同時に四次元目終了のチャイムが鳴る。
(人2)との休み時間が優先かな
俺は積み重なった資料を机の引き出しに押し込んだ。
あ、でもこれ今日までか。
また今日も残業かー
俺はただ(人2)を待った。
ガラガラガラ
俺の目の前のドアが開いた、そこには(人2)が立っていた
「来てくれたんだ!そこにすわって」
彼女は椅子に腰をかけて、机にお弁当を乗せる。
俺も前の椅子に腰をかけて、コンビニの袋を机に乗せる。
「何か悩みとかあるの?」
俺は聞きたかったことを述べてゆく
言葉も話さない
表情も変えない。
それに対して謎解きが得意。
窓から飛び降りたり
謎に満ち溢れた彼女に興味があった。
恋とかじゃなくて、気になっただけ。
もともとミステリー好きの俺は
その不思議な彼女にとても興味が湧いた。
彼女は首を振るだけ。
ちょっと変わった子だな…なんて
ちょっとじゃない。
確実に皆と違う。
彼女は箸を止め、お弁当の端にそれを乗せた。
「私と一緒でつまんないでしょう。」
初めて、声を聞いた
とても透き通った声だ。
きっとこの学園でこの子の声を聞いたのは俺が初めて。
初めてなんだよな。
少し嬉しかったりもする。
「ううん、俺は君の声を聞けた
それが少し嬉しかったりするの」
「なんで?」
「君みたいな不思議ちゃんに興味があるから」
「どこが不思議なのでしょうか」
「色々」
「そうですか」
張りっけのない声は一度途切れる。
「先生、ミステリーとかが大好きなの」
「それで何でしょう。」
「なんであの問題が解けたのかなあ…」
「出版日です」
「なんで知ってたの?」
「本で読みました。」
笑顔…見せてくれないな…
「笑顔ってどうやるのでしょう?」
「なにいきなり?」
「考えていること、口に出てました」
「え……まじ?」
「私わかりません。」
「え……」
「えがおのつくりかた」
俺は手に持っていた箸を落とした。
開いた口が当分閉じなかった。
笑顔が作れない?
んなわけ…
聞き間違えたのか
キーンコーンカーンコーン
昼休み終わりのチャイムが鳴る。
彼女はそそくさと片付けて
失礼しましたと浅いお辞儀をして
ここから出て行った
彼女の謎は深まる一方だった。
16人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はつね(プロフ) - なんか随分中途半端な終わり方だなぁ (2018年7月30日 4時) (レス) id: c7d09ddbbc (このIDを非表示/違反報告)
独奏者 - すごいですね!でも、おわりなんですか?ざんねんです… (2016年3月24日 12時) (レス) id: ee707e318e (このIDを非表示/違反報告)
牛乳 - 素晴らしい (2015年12月16日 8時) (レス) id: 9cdebf5374 (このIDを非表示/違反報告)
白豆だいふく - 雪夢@紫さん» うおーよかったー!私の小説も読んでみてくれよーw (2015年12月14日 19時) (レス) id: e01bd7b7ab (このIDを非表示/違反報告)
雪夢@紫 - あーちゃん!はなだよーーっ! (2015年12月14日 19時) (レス) id: 1a7fc8c169 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雪夢 | 作成日時:2015年12月9日 18時