◇あらすじ ページ2
◇
貴方はかつて、
何もないところだったが、貴方にとっては大切な故郷だ。
大好きな仲間もいた。
10年前、あることをきっかけに皆バラバラになってしまったのだが。
祈里村には、幼き日の楽しい思い出も、嬉しい思い出も、悲しい思い出も詰まっている。
そしてーー小さな罪の記憶も。
現在は、旧友ともほとんど連絡もとっていないし、祈里村を訪れることもないだろう。
そんなある日、カレンダーを見るともう少しであの日だと言うことに気づく。
ーーもう、あれから10年。
ーー1度くらい行くべきだろうか。
何気なく、貴方は祈里村を訪れることにしたのだった。
来たる8月20日、貴方は祈里村に足を踏み入れた。
村に続くトンネルを抜けると、懐かしい景色が出迎えてくれた。
祈里村は何も変わっていなかった。
全てがあの時のまま。
馴染みのある住人たちも、あたたかく迎えてくれた。
その中には、なんと、今は村を離れて暮らす幼馴染たちの姿があった。
貴方と同じようになんとなく村を訪れようと思ったらしい。
積もる話に花を咲かせ、気づくと村は夜を迎えていた。
外を見た貴方は、何か微かな違和感を感じた。
住人に声をかけるが、その様子はどこかおかしい。
そうしている間にも徐々に、村の景色が、人が、歪み崩れていく。
その時、貴方はようやく思い出した。
どうして忘れていたんだろう。
ーー祈里村はもう存在しないじゃないか。
◇
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作者名：花乃子 | 作成日時：2023年4月14日 20時
