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松ヶ谷紅愛は倉庫に入ることを決めた。
ドアを開けて見えたのは、ふわふわした白い髪。
「すず……!?」
「紅愛さん……」
すずはこちらを見て驚いたように体を強張らせた。
「そうか……すず……」
紅愛はふぅーと息を大きく吐き出した。
すずは、+Petalの大切な仲間だ。
でも+Petalはもう6人しか残っていない。
このまま、ここから脱出できたとして、今までのようにユニットとして活動を続けるのはきっと無理だ。
お互いの秘密を知ってしまった今、前のような仲良しグループではいられない。
それならば――
他を見捨ててでも、自分が生き残ることが最善手だ。
「仕方ない、わね」
手に持っている拳銃に目を落とした。
「……私を殺す気なの?」
「そうよ」
「……」
「だって、どうしようもないじゃない。この2人のどちらかが死なないといけないなら、無理矢理にでもあなたを殺して、私が生きるわ」
拳銃を構えた。すずの方に向けて。
すずは一歩後退りした。
「……本気なんだね」
「ええ。……こんな場面、昔見た映画を思い出すわね」
倉庫にはたくさんの物がごちゃごちゃと置いてあり、見晴らしは良くない。
すずは奥の方へ逃げたので、紅愛もそちらへ向かった。
狭い部屋ではすぐに追いついてしまう。
結果、紅愛がすずを壁際に追い詰める形になり、両者は互いに向き合った。
「大丈夫、痛いのは一瞬よ」
紅愛は拳銃を構えた手に力を込める。
すずは諦めたようにふっと笑った。
「この先どんな楽しいことがあっても、きっと思い出すわ。この瞬間のことを、私を殺したことを。そして、ずっと後悔すればいい」
「……申し訳ないと思ってるわ」
紅愛は引き金を引いた。
すずの真っ白な衣装がみるみるうちに赤く染まる。
意識を失い頭をうつむかせた彼女は、まるですずらんの花のようだった。
カチリと音がする。
首輪のカウントダウンが止まったようだ。
「はあ……」
緊張感から解き放たれた紅愛は床に座り込んだ。
拳銃が重く感じられる。
あのとき律を指名したときから、この手は汚れてしまっている。
もう、あとには引けない。
なんとしてでも、ここからは生きて出る。
そう覚悟を決めていた。
――貴方たちの分まで私が生きるから。
「ごめんなさい、許してとは言わないわ」
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みらーぼーる(プロフ) - 花乃子さん» そうでしたか…💦ありがとうございました🙏 (2023年5月14日 16時) (レス) id: 86351c9672 (このIDを非表示/違反報告)
花乃子(プロフ) - みらーぼーるさん» 公開していたのですが、恥ずかしいので現在は参加者様のみの閲覧に限定させて頂いてます🙏🏻ごめんなさい💦 (2023年5月14日 16時) (レス) id: b739fbefbf (このIDを非表示/違反報告)
みらーぼーる(プロフ) - コメント失礼します!「絶ステ本編・あとがき」を公開する日にちはいつですか?公開する予定はありますか?🤔 (2023年5月14日 16時) (レス) id: 86351c9672 (このIDを非表示/違反報告)
花乃子(プロフ) - 救世主さん» ありがとうございます✨キャラクターは他の方に作って頂いた子達で、素敵なキャラクターばかりだったので本編執筆が捗りました! (2023年5月14日 13時) (レス) id: b739fbefbf (このIDを非表示/違反報告)
救世主(プロフ) - 完結おめでとうございます🥳🎉キャラクターがそれぞれ個性的なのが魅力だと思います👍1人1人に裏の面があったり、設定がしっかりしていて飽きずにずっと楽しく読ませていただきました!とっても面白かったです💗🥰 (2023年5月13日 1時) (レス) @page39 id: 0bbfc75c53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花乃子 | 作成日時:2023年3月31日 22時