◆松ヶ谷紅愛の生誕祭【12/ 10】 ページ1
◆
「……はい!ということで"ふらわーたいむ!"でした〜!」
いつも通り1曲目を披露し終え、すみれがMCの導入を始める。
この後、気温が下がってきたことに触れ、寒いときに食べたい物なんかの話に繋げていく予定だ。
くだらない内容に思えるけれど、ファンにとってアイドルの日常を知れることは嬉しいはず。
「それじゃ〜準備はいいかな?」
未来がファンに問いかけると、客席から「いいよ〜」と歓声が返ってくる。
あら?皆何を言ってるの……?
驚いていると、ステージ上の照明が暗くなった。
「えっ……ちょっと、どうしたの?」
先ほどまでカラフルだった客席のペンライトが、赤ー色に切り替わる。
「ほら、前に出て〜!」
状況が呑み込めない私の背中を律が押す。
「皆さん、行きますよ〜!!せ〜の!」
鈴芽がファンに向かって声をかける。
「「「紅ちゃん!お誕生日おめでとう〜!!」」」
メンバーとファンの声が私の頭上に降りそそぐ。
そういえば今日は……私の誕生日だわ。
「ありがとう……!!」
「それじゃあこれから、ぷらぺたの皆からくれあ様にお祝いの言葉を伝えます!えっと……学年順でいいかな?んじゃ、私からいくね〜」
こほんと咳払いをして、葵は手紙を取り出す。
「え〜っと……、じゃあ、読むね〜。…待って、ちょっと恥ずかしいな…。
『くれあ様へ。まずは、お誕生日おめでとう〜。とっても頼りになるくれあ様だけど、たまには私にも頼っていいんだよ?っふふ、頼りないとか言わないでね。長くなると嫌だから、これで最後〜!素敵な1日にしてね、大好きだよ〜!!』
……はい、以上!」
葵は照れくさそうにぺこりとお辞儀をすると、後ろへ下がる。
次に詩乃が私の側へ駆け寄ると、手紙を取り出した。
「紅愛さん、お誕生日おめでとうございます!
いつもありがとうございます。
個性的でバラバラな私達も、紅愛さんのおかげで綺麗な花束みたいに1つになれているんだと思います。
紅愛さんにとって素敵な18歳になりますように。
私も紅愛さんのチームメイトとして相応しい女性になれるよう、頑張ります。
これからもどうぞよろしくお願いします!」
詩乃は微笑んで紅愛を見上げた。
◆
4人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花乃子 | 作成日時:2022年11月23日 15時