キミノトナリニ。【YOU】 (ページ24)

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香り。ページ24

キミくんが帰ってきたのがわかり、寝たふりをした。

近くに来たキミくんは、そっとあたしの髪を撫でた。

ヨコ『…ごめんなぁ…。』

小さい声でつぶやくキミくん。

ふっと香ってきた匂いは、あたしの知らない香り。

あたしのそばから離れようとしないキミくん。

ゆっくり目を開けた。

ヨコ『…起こしたな…ごめんな。』

A『ん。大丈夫。おかえり。』

ヨコ『ただいま。』

そのままあたしはまた目を閉じた。

何も聞く気になれなかったから。

目を背けたかったから。

ヨコ『A？』

A『…。』

ヨコ『何も…聞かんの？』

だって、何も聞きたくないもん。

何も知りたくないもん。

キミくんはずっとあたしの髪を撫でている。

ヨコ『何も心配することなんて…ないからな。ホンマに…。』

何よ、それ。

今頃帰ってきて、知らない匂いさせて、

何も心配することなんてないって。

ありえない。

あたしは何も聞こえないふりを続けることで、自分を守ろうとした。