Happy Days

Fs#5☆ ページ22

試合後。
自分の職場、トレーナー室に戻ると、

私よりも先に





泰示がいて。





試合後のマッサージはいつものこと。


だけど、いつもの明るい雰囲気とは違っていて。



会話もなく、聞こえるのは泰示のため息だけ。




心当たりはひとつ。





矢野さんの引退。





『はぁ…』


「泰示、ため息ばっかりつかないで。」


『ごめん』


「まぁ、気持ちは分からなくもないよ」




ジャイアンツからお世話になって。


私もお世話になった。





だって矢野さん、かっこよすぎるもん



男の泰示が惚れるのも分かる





『A、俺どうしよう


あの発表から俺、話せなくて。

最後なのに』




「もう…。」




『寂しいなぁー』



「ありのまま伝えればいいんだよ

泰示らしく。心からね


そうすれば矢野さんにも伝わる」



『うん』




________________________




「私、矢野謙次は


今シーズンを持ちまして現役を引退します！







ファイターズ最高ー！！！！」





ついにこの日が来てしまった。


矢野さんの引退試合。



そんな試合で

代打でヒットを打つなんてかっこよすぎる。




最後に花束を渡すのは


隣で泣いている泰示だった。



中々一歩を踏み出せない泰示。




こんな時、言葉はいらない。


背中をぽん、と押すだけ。




『行ってくる』




と言って、歩きだす33番。



その背中は今日、ベンチから見ていた


37番にそっくりで。




矢野さんの意思だったり、姿勢を
継いで行くのは


他の誰でもない、





いつの日か、矢野さんが私に教えてくれた



"代打でも、スタメンでも。俺は命をかける"



あぁ、本当にかっこいい人だなて思った。




花束を渡す泰示は泣いている。





そこで交わした会話は2人にしか分からない。




でもこれからもっと、


33番は努力を重ねて


北の大地でたくさんのファンを

魅了させてくれるはず。





泰示の背中が


37番に負けないくらい輝きますように。







((矢野さんサイコー！！！！))
(ファイターズ最高！！！

泰示、頑張れよ)

(お疲れ様でした。


そして、本当にありがとうございました)





琥珀さんリクエストありがとうございました！

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