恋する為に彷徨うのか~短編集~

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しばらくそのままの状態で「あったかーい」「ぬくぬくー」「むにむにー」など時折ディスりにも聞こえるような言葉を呟かれ続け、おしりをペンっと叩いてやれば「虐待反対っ！」なんて言いながら私ごと体を起こしてくれた。







「衣替え、面倒だけど今日する？」



『思い立った時にやった方が楽』



「ん、天気もいいし買い物日和だよ」



『私新しく毛布買いたい』



「おー見に行くかー」







私とリノの外出はいつもこんな感じでぬるっと決まる。



2人ともインドアで面倒臭がりだから基本約束はしないし、一緒に住んでるから休みの日は適当に一緒に起きてダラダラしながらその日の予定を決めるのが日課。



簡単に準備を済ませ、別にオシャレしなくてもいっかーとお互いの性格を熟知している私たちはダル着のまま近くのショッピングモールに向かった。







『ねぇ、この毛布がいい、ふわふわで気持ちいい』



「え、柄ダサくない？」



『まじで言ってる？めっちゃ可愛いじゃん』



「A猫柄ならなんでもいいと思ってるだろ」



『そんな事ないよ！でもほら見てこの端っこの猫、リノにそっくり』



「…それ、本気で言ってるならこっちの目無い猫とAの目、お揃いにしてやるけど」



『うーんごめん嘘！物騒だからやめて』







なんだかんだ文句を言いながら私が選んだ毛布を「ぽん」と可愛い効果音付きでカゴに入れてくれるから愛おしくなってしまって仕方がない。



その後もお揃いのパジャマとか靴下とか、無駄に食器だとかを買い込んで重たいねー買いすぎたねーなんてだべりながら家に帰った。







『ね！ほら可愛い！にゃんちゃん毛布〜』



「柄は置いといて。触り心地めっちゃいい」



『でしょ？』







さっそく買ってきた毛布をベッドに出して2人で潜り込む。







『ちょっと、あんま引っ張らないでよ』



「Aがもっとくっつけばいい話でしょ」



『ん、ぎゅーして』



「はいおいで〜」







リノの胸に擦り寄ると、毛布を掴んだ手で手繰り寄せられるから2人でサナギみたいな状態になる。
少しだけまだ暑いかもなと思いながらも、大好きなリノに包まれる幸せを噛み締める。







『新品の匂いするからなんか変な感じ』



「どうせすぐ俺らの匂いになるよ」



『ん、そだね』



「ん」







優しいキスを落としてくれたリノはとても幸せそうに微笑んでいた。



寒い季節も君と一緒なら暖かいね。










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