夢で彷徨う君 (ページ23)

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学校までの通い慣れた道
いつもは一人で自転車で爆走して行くけれど、今はその自転車も押しながら歩き、隣にはAが居る

他愛もない話をしながらゆっくり歩く

ていうかこれ、もはや恋人じゃん
いや、まず一緒に学校行きたいとか、会いたいとか、もうこれ期待してもいいよな？

出会ってまだ間もないけど、Aも既に俺と同じ気持ちでいてくれてるんじゃないかと思うと顔が熱くなった

『オッパ、あのね、私決めたんだっ』

「ん？何を？」

『歌手になるって夢、叶えるために私オーディション受けてみる！』

「え！やる気になったんだ！」

『うん、オッパとたくさんお話して少し自信ついたし、頑張ってみようかなって。オッパのお陰だよ』

「Aの力になれて良かった。応援してる！まじで！」

Aがデビューしたら俺がファン一号だと言うと気が早いよと言いながら恥ずかしそうに俺の腕を軽く叩いてくる

そんなこんなで話しているうちにあっという間に学校に着く。校門前で友人に出会し、「もしかして彼女？！」と騒がれたのは言うまでもない

騒ぐ友人にタジタジになりながら違いますよ…！と慌てているAが可愛くって少し意地悪したくなる

Aの肩を抱き寄せ、友人にアピールしながら「まだ彼女じゃないよ、まだね」と言って笑ってみせた

イミノやるなー！と友人から歓声が上がり、こちらをチラチラと見ていた女子達からはキャー！と悲鳴に近い声が上がる

してやったり、とAの顔を覗き込むと口をパクパクしながら顔を真っ赤にしてクリクリの目を更に見開いていた

『‪お、オッパ、なに、今の、なに、』

「んー？なんだろうね？笑」

『ヤー！からかわないでよっ！』

「ごめん笑 Aが可愛くてつい」

友人たちも空気を察したのかまた後でな〜とニヤニヤしながら学校に入っていった

いまだに顔を赤くしているAと、名残惜しいがバイバイしなくてはいけない

「A、良かったらお昼とか一緒に食べる？」

『……うん』

「あれ、どしたの？笑」

『……なんでもないー！オッパのバカー！じゃあね！』

俺に向かってべーっとしながら先に行ってしまったA

俺も教室に向かおうと自転車を置きに行き、早く昼にならないかなと浮き足立っていた