夢で彷徨う君 (ページ20)

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それから俺たちは日が沈み暗くなるまでたくさんお互いの話をした

Aは父親が韓国人で、両親の仕事の関係で韓国に移住することになり引っ越してきたらしい

幼い頃から韓国語と日本語が飛び交う環境に居たから、少しは韓国語も分かるそうだ

そして俺と同じ高校の転校生だった
ちょっと前にクラスの奴らが一年にめちゃくちゃ可愛い日本人が転校してきたらしいって騒いでいたのだが、絶対にAのことだろうなと自分の中で納得した

『ミノオッパはダンスを習ってるんですね』

「うん、そう。ダンスが好きで。将来はダンサーになれたらなって思ってて」

『ダンサー…！すごいな…かっこいい夢ですね』

そう言いながら何故か俯いてしまった

「…Aは、何か好きなこととか夢はないの？」

『私は…韓国に来ることになっちゃったから…諦めてる、っていうか、』

「？韓国ではできないことなの？」

『……勇気は、ありません』

私は、歌手になるのが夢だったんです

とても細々とした声で呟き、空を見上げるA

夕焼けに照らされた横顔はより一層彼女の魅力が引き立てられている気がしてついまた見とれてしまう

『韓国に来て、言葉も文化も違うから、やっぱり少し怖くって』

「…じゃあ、さ、俺が韓国語いっぱい教えてあげるよ」

『……え？』

「ここでこうしてまた会おう。友達同士の方がやりやすいと思うし。俺も日本に興味あるからさ、Aは俺に日本語教えてよ」

『で、でも迷惑じゃ』

「聞いてた？俺も日本語勉強したいの！それに、韓国語に少しでも自信ついたらAもまた夢追っかけられるでしょ？」

最初は君に沢山会うためのただの口実だったけれど

君に日本語を教えて貰ってて良かったと思う日が来るのはもう少し先の話