19 ページ19
.
『…助かりました、…急な強風、びっくりしましたね』
「あ、うん、こっちに飛んできてくれて良かった」
聞き心地のいい声に天使のような笑顔を間近で見ているせいで上手く返答できていたのか途端に不安になってしまう
そんな気まずさを察し『あ、じゃあ…』と言いながらぺこりとお辞儀をして離れて行こうとする彼女
…所詮これは一目惚れってやつだ
外見だけで人を好きになるなんてこと、自分は絶対にないと思っていたのに
自分が一瞬にして恋に落ちたと理解するまでにそう時間は掛からなかった
俺に背を向け歩いていく彼女の手を咄嗟に掴む
『あ、あの…?どうかしましたか…?』
「……ねえ、俺と友達になって」
『え...えっと、その…私なんかでよければ…』
突然何を言い出すんだと言わんばかりに困った表情でそう答える彼女はどこか辿々しく、もしかして海外の子?と聞くと一ヶ月ほど前に日本から引っ越してきたそう
『…こっちで初めてのお友達、です』
最初こそ驚いてはいたが段々と笑顔を見せてくれて嬉しそうにそう言ってくれた
「俺、イ・ミンホ。高2。名前、聞いてもいい?」
『あ、韓国ではイ・Aです。今高1です』
「…Aちゃん、ね。年下なんだ、気軽に話してよ」
なんでもないように話してはいるが内心は心臓バックバクだ
…だって俺、今天使と話してる
柄にもなくそんなことを思ってしまっている自分に呆れてしまった
388人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:YuuKnow | 作成日時:2023年9月9日 8時