夢で彷徨う君 (ページ18)

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アイスが溶ける前に食べてしまわないとと思い、レジ袋をガサゴソと漁る

すると音で俺の存在に気付いたのか、ずっと静かに川を眺めていた女の子がこっちを向いた

キャップを被っているから陰になってよく顔は見えなかったが、目が合った気がしたので軽く会釈をすると向こうも軽くペコリとだけしてすぐに前を向いた

俺も再度意識をアイスに戻し、パッケージを破いて頬張る
たくさん頑張った後に食べるアイスは格別だ

その瞬間、ぶわっと風が吹く

『……あっ』

少し遠くに立っていた女の子が声を上げた直後、彼女が被っていた帽子が風により飛ばされて俺の方に転がってきた

帽子を手に取り立ち上がったタイミングで小走りでこちらに向かってくる女の子
渡してあげようと思い俺も少し近づいた

『あのっ…すいませんっ…！』

困ったように眉を下げながらそういう彼女の声はまるで鈴のように凛としていて、風に靡くウェーブがかった長い栗色の髪の毛はとても透き通っていて綺麗だった

何よりも、髪の間から見える彼女の瞳の黒の深さに吸い込まれそうになり、一瞬で目を奪われてしまった

『…？あの…』

「…あ、ご、ごめん、これ…」

固まっていた俺を不思議そうに見つめていた彼女は、俺から帽子を受け取るとありがとうございます、と言い穏やかに笑った

その笑顔に、俺はまた釘付けになる

よく見えた彼女の顔はそれはもうとても大人びていて

くっきりとした大きな目にすらっとした鼻筋、弧を描くぽってりとした唇は白い肌によく似合う紅で

どこか消え入りそうな儚さを纏っていた

…冗談じゃなく、本当に天使なんじゃないかと思った