連星αに捧ぐⅢ【僕のヒーローアカデミア】 (ページ7)

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「体育祭の結果次第では、ヒーロー科へのリザルトも考慮されるんでしたっけ」
「ああ、そうだよ。アンタの担任……イレイザーヘッド、相澤もその口さね」
「あの入試は以前から変わりないんですね」
「そうだね。……さっきの怪我した3年生はね、普通科の生徒なんだよ」

ヒーロー科の入試で己の力を充分に発揮出来ず、普通科に落ちた生徒は、毎年何人もいる。しかし、この雄英体育祭で良い結果を出せば普通科からヒーロー科への転科の可能な制度があった。だから、年に３回しかない体育祭はヒーローを強く望む普通科生徒にとっては、それこそ人生を掛けた戦いなのだ。
3年生、最後の体育祭。3年生のヒーロー科なんて仮免許の取得は勿論しているだろうし、殆どプロと同列の扱いを受ける。そんな中にまだ一般生徒が入れる程の余地が残されていると思えないのは本人も分かっていたのだろう。それでも、ヒーローになるという夢を捨てきれずに挑んだ戦い。幾ら気持ちがあったとしても、圧倒的に開いた差を埋めることは出来ない。個性の強化や戦い方を学ぶヒーロー科と、公共での個性使用を禁じられる普通科。

「泣いてたよ。悔しいって」

高校でヒーロー科に入らずにヒーローになる事は、ほぼほぼ不可能だ。正直、2年生からの転科も難しい。1年生の体育祭が勝負と言っても過言ではない。それでも、それでも、体を壊しても追い求め足掻いた夢だったのだ。

「…………あ」

小さな液晶の向こうで緑谷が普通科生徒を場外へ叩き投げたのが見えた。途端、歓声に包まれる会場。緑谷がフィールドに出てしまう寸前で自我を取り戻したのだ。日頃から体を鍛え、体術の講義も受ける彼に、普通科生徒が勝てる術はもうなかった。受身も満足に取れていない事は、彼が戦闘慣れしていないことを示していた。カメラワークは勝利を収めた緑谷に寄り、もう彼の姿は見えない。

「普通科で、決勝まで進む事は基本ないからね。個性も個性だ。……考慮も有り得ない話じゃないさね」

ふう、と小さくため息を吐き出したリカバリーガールは椅子から立ち上がった。

「その内緑谷がこっちに来るさね。魚住、仕事だよ」

これから来室者が増えるだろうから、と渡されたのはシーツやら掛布団やら。別室のベッドの準備だ。それが終わればリカバリーガールは玲湖にカルテを手渡す。

「こっちは重症患者に付きっきりになる可能性もあるから、軽傷者の対応は頼んだよ」

頷いたその時、調度保健室の扉がノックされた。