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だから、余計に顕著だったのかもしれない。
初めてのヒーロー基礎学の授業、対人での戦闘訓練。個性把握テストでは決して見せることのなった玲湖ちゃんの個性。推薦入試合格者で、もの凄い個性を持っている轟ちゃんが惜しげも無くその氷結という派手な個性をかましたとき、私たちは気付かなかった。たった一人、氷漬けとなったビル内で自由に動いていた玲湖ちゃんを。個性把握テスト最下位で、誰も玲湖ちゃんのことを見ていなかった。大規模な轟ちゃんの氷結もあって、突然ふらりと現れた玲湖ちゃんには皆驚いた。音は何も聞こえないから、何を話していたのかは分からないけれど、少し慌てた轟ちゃんの足を封じた後颯爽とその場を去っていく姿は格好良かった。格好良かったのだけれど、問題はその後の話で。問題、という程のものではないのかもしれないけれど。思い違いであれば、それでいいのだ。
ヒーロー科ということで、毎日のカリキュラムにヒーロー基礎学が組み込まれている。一概にヒーロー基礎学と言っても、学ぶべき事は多くて、例えば法律であったりパニックを起こした市民の対応、敵の心理であったりと中々ボリューミーだ。それでも、やはり一番の割合を占めるのは戦闘訓練。ある時は敵役を打ち負かす為、ある時は誰かを守る為、様々なシチュエーションを想定した訓練が行われる。
酷く、冷めた目をしていた。
極々薄い瞳は硝子細工のように透き通っていて、且つ突き刺すような鋭さを感じたのだ。きっと、訓練に真剣になっているからと初めの頃は思っていたのだけれど、ヒーロー基礎学、戦闘訓練の時は決まって笑顔が消えているのが目に付いた。いつもは柔く細まり尖りの削れていた筈の切れ長の目が元の鋭さを取り戻し、よく研がれた刃のように突き刺さるのだ。玲湖ちゃんがヒーロー役、私が敵役として対峙したときはそのあまりの冷たさに足が竦んだ。そして同じチームになった時も、酷く落ち着いた声で淡々と伝えられる戦略。有無を言わせない圧を感じた。
それは、きっと戦闘時のみなのだと。授業が終わってしまえば忽ち強張りが無くなり緩やかな笑みを浮かべ、お疲れ様、と言うのだ。だけれども、それもまた違って。ふと思い詰めた顔をしている時がある。それは、戦闘時のそれと全く同じもので。じっと一点を睨み付けるように見つめ逸らさない。探してみれば、案外厳しい顔をしているのだ。自分やお友達と一緒にいる時とのギャップは誰にも言えず心の中にしまってある。
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作者名：英 | 作成日時：2018年1月21日 23時
