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「それで、気になったことがあって……魚住さんの個性の発動条件は?ノーモーションで出来るの?」
真白いノートのページを開き、真っ直ぐに見つめてくる緑谷。普段は温和で控えめなくせして、こういう時には不思議な強制力を持つ強い眼力を持った緑谷のことが、玲湖は少しだけ苦手だった。また、彼は玲湖の遭遇した事件のことを知っている。玲湖の両親が無個性だということも。玲湖の告白の後日、特にお互い態度が変わるなどなかったのだが、玲湖は無意識の内に緑谷と二人になることを避けていた。
「えっと……」
玲湖の個性は少しばかり説明がしづらい。玲湖の家庭事情を知らぬ者には適当言ってごまかすことも可能なのだが、緑谷は知っている。別に話した所で困るものはなく、仮にはぐらかしたとしてもいつか明るみになった時が面倒だ。玲湖は早々に降参の白旗を上げ口を開いた。
「まず、私の個性は発動型ではないことを念頭に置いておいてほしい。轟君に似てるって言われるけどそもそもが違う」
「セメントス先生みたいな変形型、だよね」
個性には主に3つの区分がある。発動型、変形型、異形型。発動型とは
「半分正解。多分、一番近いのは爆豪君じゃないかな」
「かっちゃん……?」
ただ、第五世代となるとまた違った個性の分類がある。
「複合型」
個性と遺伝の関係はまだ明確な事実が明かされていない。が、少なからず個性は遺伝するのがスタンダードだ。ここで、爆豪勝己を例にとる。彼の個性は爆破。汗腺からニトログリセリンのような物質を分泌し、爆発させる。一見、発動型とも見てとれるが、彼は完全なる複合型だ。母の個性がグリセリン、父の個性が酸化汗。その二つが合わさったのが爆豪の個性にあたる。人口の約8割が個性を所持する今、両親若しくは祖父母の個性をハイブリッドされたものが多くなっているのだった。
「えっ?で、でも」
玲湖の個性は皆とは事情が違った。だから、説明するのが億劫だったのだ。
「そうだね。親、無個性だからね」
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作者名：英 | 作成日時：2018年1月21日 23時
