連星αに捧ぐⅡ【僕のヒーローアカデミア】 (ページ42)

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「魚住さんの個性って結晶化で合ってるよね?」

何でもない日の放課後。帰り支度途中の玲湖に声を掛けた緑谷は片手にノートを持っていた。

「そうだよ?」

それがどうかしたのか、という声は彼によって遮られた。

「凄く綺麗で良い個性だよね。光でキラキラ輝いて色もあって宝石みたい。なのに強くて、応用も効いて。氷じゃないから溶かされることもないし。……今日の基礎学で急に足元が結晶になった時は吃驚したよ。完全に不意打ちだった。あれって僕らが正面から来ることを予測してたんだよね。どうしてそう思ったの?」
「あ、圧が強い……」

キラキラと目を輝かせ詰め寄る緑谷に思わず玲湖はたじろいでしまう。と同時に今日のヒーロー基礎学での出来事を思い出した。

「緑谷君、今日は怪我しなかったね」
「個性使う前に負けたからね……」

苦々しいといった様子の緑谷に玲湖はごめんねと軽く謝罪した。
USJから暫くした後、玲湖が轟に誘われる少し前のヒーロー基礎学の授業は、初回の時のような個性使用有りの対人戦闘。玲湖は前回と同じく敵役で、ペアは瀬呂だった。対するのは緑谷と切島。既視感のあるビルで、先に入った玲湖達は一分後にやってくるヒーローチームの二人の性格的に正面突破して来ると予測した。前回異なる点は、人質役がないこと。敵は逃げ切る又はヒーローを捕まえる、ヒーローは敵を捕まえたら勝ちだ。敵チームには拘束に長けた瀬呂がいる。が、切島の硬化でテープを切り裂く事も可能であり、ヒーローチームも敵チームが正面から来るとは思っていなかった。身を隠すことの出来ないエントランスでは奇襲は不可能。隠れる場所が無いのはお互い様だ。その為、ヒーローチームは開始直後の戦闘はまず有り得ないと可能性から除外したのだが、それは丸っきり覆される事になる。
緑谷と切島がビル内に入って直ぐ、がらんどうのエントランスのど真ん中、二人の真正面に玲湖はいた。物議を醸された部屋着感満載の某スポーツブランドリスペクトなヒーロースーツ。両手を挙げ、抵抗の意思がないことを示して。明らかに可笑しい。いきなりのことに困惑する二人を余所に、薄い青が妖しげに光った瞬間、二人の足元には結晶が貼り着いていた。切島が硬化した拳で結晶を殴って割ろうと試みるも、その前に、瀬呂のテープにより二人纏めて拘束されてしまったのだ。どうすることも出来ず、ヒーローチームの負けが呆気なく確定した。今日の基礎学では最速の決着だったらしかった。