連星αに捧ぐⅡ【僕のヒーローアカデミア】 (ページ17)

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ミッシングペディグリーというのは差別用語だ。両親が無個性であるのなら尚更、ましてや無個性狩りという事件。六年前なら10歳前後だ。何が起きたのか分からない程幼くない。それに話を聞く限り相当頭の切れた子供だったのだから事件の事は覚えてるだろう。その境遇だけを聞けば、魚住玲湖という人物は深い闇を背負っていると思える。が今隣にいる此奴はそんな闇を感じさせない。戦闘中のあの緊張感は嘘のように(本人曰く、突然の出来事にテンパって頭真っ白だったんだからね、だそうだ)小さな口は弧を描き笑みを零す。明るい、というか今話していてもそうだがコミュニケーション能力が高いのだろう。決して騒がしくはなく、完全に沈黙する訳でもない。近過ぎず離れ過ぎず、調度いいこの距離。何か言えば罵声を返すあの爆豪にも果敢に声を掛けに行く辺り相当だ思う。
幸せそうだ。大勢が持っているものを持っていなくて足りなくても。寧ろ俺には有り過ぎて嫌になるっているのに、魚住はそんなもの気にしていないとばかりによく笑う。個性婚で生まれた子供も、ミッシングペディグリーの子供も、その多くは精神に破綻をきたすことが多い。それなのに此奴はクラスの誰よりもよく笑っていた。リカバリーガールが後見人に付いているらしい。雄英の大黒柱とも言える治癒という稀な個性を持つヒーローは、極めて優秀な人だ。そんな人に育てられたのだから当然といえば当然なのか。俺の親父はNo.2のくせして性格はゴミ屑だ。

「蕎麦はあったかくねえ奴に尽きる」
「何ですかその拘り。目が本気ですよとどさん」
「魚住は変というか、変な奴だな」
「そのまんまかよ」
「口も悪い」
「その言葉そのまま返します」

真っ直ぐの道程を二人並んで歩く。取り留めのないことをつらつらと並べ、至極どうでもいい話をしているだけ。人と話すことには苦手を覚えていたが、どういう訳か魚住との会話は苦ではなかった。噛み合っているようで噛み合っていない、チグハグであると自覚しているがまあいい。

「お前良い奴だな」
「唐突だね。轟君は面白いね」
「唐突だな」

ふわり、と風が舞う。夕方特有の少し冷めた風が気持ちいい。硝子のように澄んだ目が此方を捉えた。

「私本当は悪い子なんだよ」

笑みを含んだその声は何故だか震えているようだった。

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どうした文章。何となく気に入らないので書き直すかも。
MissingPedigree、完全なる捏造でした。出番はきっとこれっきり。