連星αに捧ぐⅡ【僕のヒーローアカデミア】 (ページ11)

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「一番焦っていたのは私かもね」

眉を下げつつ苦笑がちに玲湖ちゃんは言った。
終業時間が迫り、夕陽に染まる校舎。窓から差し込む圧倒的な赤が玲湖ちゃんの頬を照らす。

「そんなことないわ。だって、玲湖ちゃんは皆と黒いモヤの敵を倒して、私を救けて、相澤先生の応急手当までして」
「ううん、焦ってた。焦って一周回って冷静になったのかね?何も覚えてないんだよ頭真っ白だった」
「それでも充分凄いわ。……私、本当は泣いてしまいそうだったの」

初めて遭遇した敵で、しかも学校に攻めてきて。頼みの先生も倒れて。もう駄目なんじゃないかと思った。ヒーロー志望が情けない。けれども自分達はまだ子供なのだ。

「何も怖くない人なんていないよ。怖いから、怖いって思うから守りたいんだよ」
「ケロ?」
「怖いから戦うんだ。……雷が怖いから避雷針が出来たし、津波が怖いから堤防が出来たようにね」
「怖いから戦う……」

いつの間にか止めていた足が再び動き出す。慌てて隣に追いつき、ちらりと前を向く横顔を見た。

「じゃあ爆豪ちゃんに果敢に話し掛ける怖いもの無しな玲湖ちゃんは何が怖いのかしら?」

一瞬開いた薄青は、また直ぐに細まって。その笑顔は少しだけ困っているようにも見えた。

「こわいもの」