episode.5 ページ6
評議会の開かれる場所から研究区画へと向かう広々とした空間の廻廊に白い影が2つ、肩を並べて歩いていた。
伏せ目がちに今後の研究対象や会議予定を考えていたルシファーだが、不意に隣を歩くAを横目で盗み見る。
｢珍しく殺気立っているな｣
評議会の帰り、ベルゼバブにルシファーが剣を向けられた事により、顔を覆うベールからでも顕著である程にAの気は殺気立っていた。
それを確認したルシファーはまた視線を前へと戻す。
｢何だか嫌な感じがした。品定めされているような。ベルゼバブと言ったかしら、彼は何者？｣
ベールの下でAは表情を歪めた。
己の認知出来ない、深い闇の色をした違和感と威圧を持ったあの異質な人物を思い浮かべると、怒りとも恐怖とも言えない、ただ胸から迫り上がる気持ち悪さがAを支配する。
恐らく今の自分に勝てない相手ではない。
しかし、Aの頭の隅で恐らく本能というものが警鐘を鳴らしていた。
｢奴は最高評議会に属している。その評議会の中でも異端と言えるだろう。近頃は『力』についての研究を膨大な時間を掛けて研究していると聞く｣
ルシファーはさして興味もなさそうにA
の質問に応えた。
しかし、何を思ったのかルシファーは自身のローブの内側を左手で物色し始める。
｢俺は奴には興味はないが……向こうは別だろう。特にお前やルシフェルは用心するに越したことはない。お前達は奴の欲する『力』というものを体現したような存在だからな｣
そう言い終えるとルシファーは自らの懐から、銀で作られたであろう細いフレームの指輪を取り出した。フレームの真ん中には熟れた林檎の様に赤い宝石を1つ、その赤い宝石の両側に空のように澄んだ蒼い石を2つ。
簡素と言えば簡素、洗練されていると言えばされているデザインのそれを、ルシファーは掌で転がして見せた。
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花房(プロフ) - かえでさん» ありがとうございます！続きを現在制作途中なので、コメント頂けてとても励みになりました！ (2020年1月28日 0時) (
レス) id: fdefab8ffa (このIDを非表示/違反報告)
かえで - 面白すぎて一気読みしてしまいました！ファーさん大好きなので嬉しいです！ゆっくりでいいので続き待ってます〜！ (2020年1月26日 16時) (レス) id: 07d90d10b2 (このIDを非表示/違反報告)
花房(プロフ) - うささん» 私も勝手ながらうささんにこの小説に巡り合って頂けたこと嬉しく思います！読んで下さり有難うございます！ (2019年7月6日 3時) (レス) id: 11b4cc7523 (このIDを非表示/違反報告)
うさ - ルシファー立ちが大好きなので巡り会えたのがとても嬉しいです！ (2019年6月30日 16時) (レス) id: ef6ea16959 (このIDを非表示/違反報告)
花房(プロフ) - 堕天司さん» ありがとうございます。時間はかかりますが完結目指て続けていこうと考えています。落ちに着いては私自身まだ熟考中ですので、ご意見の1つとしてご参考にさせて頂きますね！ (2019年6月22日 0時) (レス) id: fdefab8ffa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花房 | 作成日時：2019年4月18日 11時
