episode.2 ページ3
3人で中庭でお茶をする際、お茶請けである菓子を作っていたのはAであった。
しかし、ルシフェルとサンダルフォン、2人きりでお茶をする時もあるだろうからと、Aはサンダルフォンに珈琲に合う焼き菓子のレシピを幾つか教えていた。
今回、Aが菓子の準備をしようと、簡易的な調理が出来る場所へ向おうとしていた矢先、サンダルフォンが、今回は自分にと申し出たので、全て任せることにした。
いつもAが作る菓子を食していたルシフェルは、些か驚いたが、菓子を作れるようになったことでさえも、サンダルフォンの成長だと捉えると、胸が温かくなるような気がした。
｢全て1人で作ったのは初めてなの。でもサンダルフォンは器用だもの。きっと、どれも美味しく作れているわ。早く頂きましょう？｣
Aは待ちきれないと言わんばかりに、ルシフェルを急かす。
｢そうだな、では頂くとしよう｣
ルシフェルはマドレーヌをAはフィナンシェをそれぞれ手にとり口へ運ぶ。
その光景を、サンダルフォンは緊張の面持ちで見ていることしか出来ない。
先に口を開いたのはルシフェルだった。
｢柔らかい甘さの中に、仄かな檸檬の風味が味わい深い。とても美味しいよサンダルフォン｣
｢本当ですか！！良かった！｣
ルシフェルの一言でサンダルフォンの表情は、炎天に咲く向日葵のように眩しい笑顔を咲かせた。そして、そわそわとAに視線を遣る。
｢焼き加減が難しいお菓子なのに、とっても上手に焼けているのね。甘過ぎず、程よく珈琲に馴染むわね。とっても美味しいわ、サンダルフォン｣
もう教えてあげられることは無さそう。
微笑みながら、そう賛辞を伝えるA。
｢いえそんな、まだ沢山、A様から教えて頂くことばかりです。ルシフェル様、また味見をお願いしますね｣
サンダルフォンは恥じらいながらも、2人に無邪気な大輪の笑顔を見せた。
それにつられるように、ルシフェルとAも、ついつい口元が緩む。
中庭の午後は密やかに、穏やかに、まるで夢物語のように過ぎてゆくのであった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 164人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花房(プロフ) - かえでさん» ありがとうございます！続きを現在制作途中なので、コメント頂けてとても励みになりました！ (2020年1月28日 0時) (
レス) id: fdefab8ffa (このIDを非表示/違反報告)
かえで - 面白すぎて一気読みしてしまいました！ファーさん大好きなので嬉しいです！ゆっくりでいいので続き待ってます〜！ (2020年1月26日 16時) (レス) id: 07d90d10b2 (このIDを非表示/違反報告)
花房(プロフ) - うささん» 私も勝手ながらうささんにこの小説に巡り合って頂けたこと嬉しく思います！読んで下さり有難うございます！ (2019年7月6日 3時) (レス) id: 11b4cc7523 (このIDを非表示/違反報告)
うさ - ルシファー立ちが大好きなので巡り会えたのがとても嬉しいです！ (2019年6月30日 16時) (レス) id: ef6ea16959 (このIDを非表示/違反報告)
花房(プロフ) - 堕天司さん» ありがとうございます。時間はかかりますが完結目指て続けていこうと考えています。落ちに着いては私自身まだ熟考中ですので、ご意見の1つとしてご参考にさせて頂きますね！ (2019年6月22日 0時) (レス) id: fdefab8ffa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花房 | 作成日時：2019年4月18日 11時
