Magnolia 2 【グラブル】

episode.17 ページ18

ルシフェルの片腕として研究所の外で戦闘を行う日々が続いていたAだったが、今その姿は研究区画にあった。

昨夜、連日続く戦闘から帰ったばかりではあったが処理する仕事が溜まり休息を取ることが出来ないまま、身体も思考も酷使させていた。


「(これが終わったらミカエルに会いに行かないと……それからこの資料はベリアルに届けて……あぁ、サンダルフォンの珈琲が飲みたいなぁ)」


常に脳内に敷き詰められた数多のタスクが、戦闘後に癒せないままの疲労を増幅させる。

久しく出来ていないお茶会でのサンダルフォンの珈琲が何だか無性に恋しくなった。

戦闘、書記官としての責務、それに加えAの頭の中ではルシフェルに打ち明けられた憶測がぐるぐると巡り続ける。



『(友は回収した世界に存在してはいけない異物を作ろうとしているのではないだろうか)』



「世界に存在してはいけない異物って、なに……」


信じたくはない。確かに万物を創造出来るような知識があれど、ルシフェルやベリアルのように、あれ程の美しい天司を造り出すあの手が世界に存在してはいけないような、そんなおぞましい物を作ってしまうなんて。

今ままでのように語り合う事さえ出来なくなる未来など、信じたくはない。


「杞憂で終われ」


Aは祈るように呟き白亜の廻廊を早足で駆けた。

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