episode.10 ページ11
ベリアルとのティータイムをしてから一夜明けAはいつも通りルシファーの研究室へと足を運んだ。
入室した途端に眉間に皺を寄せ、ろくに睡眠も摂っていないであろう隈を目の下に貼り付けた、頗る不機嫌なルシファーに突然「不本意だからな」と凄まれたのは記憶に新しい。
不機嫌なルシファーの対応にはここ最近急激に慣れてきたもので、必ずルシフェルと共に行動することや、一度でも重傷を負った時には許可を取り下げるといった条件を付けることで、ルシファーの急な心変わりという難は逃れた。
取り敢えず、今目の前で不機嫌ながらに何やら数式の書き込まれた書類に目を通しているルシファーに休憩を促そうと紅茶を淹れていると、Aはルシフェルの気配を察知した。その気配が此処に近づいているのがわかる。Aはティーセットをもう一脚準備した。
蒸らした茶葉が香りを漂わせ、美しい水色に染まったところで研究室のドアがノックされた。ルシファーがノックをした人物も確認せずに入れと入室許可するとルシフェルが顔を覗かせた。
「ちょうど良かった、ルシファーのことを休憩させるところなの。ルシフェルも付き合ってくれる?」
「勿論だ。友よ長時間の集中は逆に効率を下げてしまう適度に休憩を」
ルシフェルが声をかけるとルシファーは、ひらりと1枚書類を掲げてこれで最後だと短く言い放った。あの1枚だけなら直ぐに終わる。そう判断してAはカップに紅茶を注いだ。
「A、今更だが戦闘に参加させることを勝手に決めてしまってすまない」
ルシフェルは憂いた表情で注がれる紅茶を見ながら謝罪の意を口にした。
しかし、Aはルシフェルとは対照的に柔らかく微笑んでいる。
「ルシフェル、いいの。これは私がずっと望んでいた事なのよ」
言い聞かせるように諭せばルシフェルも困ったように微笑んだ。
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花房(プロフ) - かえでさん» ありがとうございます!続きを現在制作途中なので、コメント頂けてとても励みになりました! (2020年1月28日 0時) (レス) id: fdefab8ffa (このIDを非表示/違反報告)
かえで - 面白すぎて一気読みしてしまいました!ファーさん大好きなので嬉しいです!ゆっくりでいいので続き待ってます〜! (2020年1月26日 16時) (レス) id: 07d90d10b2 (このIDを非表示/違反報告)
花房(プロフ) - うささん» 私も勝手ながらうささんにこの小説に巡り合って頂けたこと嬉しく思います!読んで下さり有難うございます! (2019年7月6日 3時) (レス) id: 11b4cc7523 (このIDを非表示/違反報告)
うさ - ルシファー立ちが大好きなので巡り会えたのがとても嬉しいです! (2019年6月30日 16時) (レス) id: ef6ea16959 (このIDを非表示/違反報告)
花房(プロフ) - 堕天司さん» ありがとうございます。時間はかかりますが完結目指て続けていこうと考えています。落ちに着いては私自身まだ熟考中ですので、ご意見の1つとしてご参考にさせて頂きますね! (2019年6月22日 0時) (レス) id: fdefab8ffa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花房 | 作成日時:2019年4月18日 11時