episode.1 ページ2
色とりどりの草花が手入れをされ、美しくその身を穏やかな陽の光に晒している中庭。
誰もがこの中庭で微睡みたくなるような、まるで童話の世界を錯覚させるこの場所で、これまた童話のように美しい男女一対の天司がテーブルを囲み閑談していた。
｢反乱分子の動きが活発だそうね｣
憂いた表情で、天司長直属の書記官であるAは目の前に座る自身の上官、天司長であるルシフェルに語りかけた。
｢あぁ、私や四大天使、その使徒達で対応に当たっているが、明らかに今までと動向に変異があると見て良いだろう｣
ルシフェルは珈琲の入ったカップを口元から離し、表情を崩すことなく淡々と答えた。
｢そう……この頃ルシフェルが誅征に発つ頻度が多い気がして｣
｢心配することはない。元々私の役割の範囲に過ぎない。それに、帰還した時こうしてAや、サンダルフォンと心穏やかに安寧の時を過ごせているのだから、花房、君が憂うことはないよ｣
｢なら良いのだけど｣
本音を言えば納得できないのだが、ルシフェルの配慮を無下にするわけにはいかず、花房は深く言及することはやめた。
ルシフェルと話している間に、サンダルフォンが焼き菓子をのせた銀のトレーを運んで来た。
彼もルシフェルの補佐を務めて、
ある程度日が経つ。
Aと同様、研究所の外に出たことはなく、戦闘にも参加をしないが、それ以外の任された仕事を丁寧に素早くこなしていた。
その働きぶりに、補佐に推薦したAも、サンダルフォンを造ったルシフェルも満足し、同時にとても厚い信頼を置いている。
｢今日のお茶菓子、全て任せてしまってごめんなさいね、サンダルフォン｣
Aは申し訳なさそうにサンダルフォンに声をかけた。
｢いえ、お気になさらないで下さい。ルシフェル様も、A様も大切なお話が沢山お有りでしょうから。それに、折角A様に教えて頂いたレシピも作らなければ持ち腐れてしまいます｣
｢ほう、この焼き菓子はサンダルフォン、全て君が作ったのか｣
｢はい、A様に教えて頂いたものです。珈琲に合うようにと。A様のように上手く作れたか自信はありませんが｣
少しばかり緊張した様子のサンダルフォンは、
ぎこちなくはにかんでみせた。
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花房(プロフ) - かえでさん» ありがとうございます！続きを現在制作途中なので、コメント頂けてとても励みになりました！ (2020年1月28日 0時) (
レス) id: fdefab8ffa (このIDを非表示/違反報告)
かえで - 面白すぎて一気読みしてしまいました！ファーさん大好きなので嬉しいです！ゆっくりでいいので続き待ってます〜！ (2020年1月26日 16時) (レス) id: 07d90d10b2 (このIDを非表示/違反報告)
花房(プロフ) - うささん» 私も勝手ながらうささんにこの小説に巡り合って頂けたこと嬉しく思います！読んで下さり有難うございます！ (2019年7月6日 3時) (レス) id: 11b4cc7523 (このIDを非表示/違反報告)
うさ - ルシファー立ちが大好きなので巡り会えたのがとても嬉しいです！ (2019年6月30日 16時) (レス) id: ef6ea16959 (このIDを非表示/違反報告)
花房(プロフ) - 堕天司さん» ありがとうございます。時間はかかりますが完結目指て続けていこうと考えています。落ちに着いては私自身まだ熟考中ですので、ご意見の1つとしてご参考にさせて頂きますね！ (2019年6月22日 0時) (レス) id: fdefab8ffa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花房 | 作成日時：2019年4月18日 11時
