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真夜中に智くんの夢をみた。
私を抱きしめて…
『こんなに飲んで…バカだなぁ』
って…
『さみしかったから飲んだの？』
って…
バスローブの紐を解いて…
私の胸に顔を埋めて…大きく息を吸い込んで…
甘えん坊の声で
『ちさちゃん…起きてよ…』
って…
乾いたあたたかい手で撫でられて気持ちいい。
『ねぇ…起きて…』
掴まれて…ちゅっと吸われて…
『もう…やっちゃうよ…』
って。
いいよ…智くん…
…でも…眠くて眠くて…
体どころか指先すら動かせない
唇が重なって…
熱い舌が私の舌をトロンっと舐めた
あ…
キスしてくれた…
嬉しい…
嬉しくて…
眠い…
分厚い眠りのカーテンが降りてきて…夢は徐々に遠ざかった…
『おやすみ…千咲子…』
智くんの声…
・
目を覚ますと､もうお昼前だった。
昨夜の真っ暗な気持ちが跡形もなく消えてる。
きっと…夢のおかげだと思う…
智くんが夢に出てきてキスしてくれた…
だから今日はこんなにも気分がいい。
病院には夕方出勤すればよかった。
今夜は夜間外来の当直。
それが終われば明日は休み。
・
明るい気持ちでキッチンに入り､コーヒーを淹れようとして…
私は驚いて飛び上がった…
コーヒーメーカーにメモが貼り付けてあったから。
メモには見慣れた文字が躍ってる…
『おはよう
ふつかよいしてない？
あんま飲んじゃだめだよ
それから明日うちに来ませんか？
お酒抜きで仲良くしましょう
追伸。
ゆうべはガマンするのしんどかったよ(涙)
さとち』
寒い冬の夜に…着膨れた智くんがタクシーを拾う姿が目に浮かぶ…
来てくれたんだ。
それで…キスして帰った。
智くんの優しさに胸が震える…
割れたガラス類がシンクの隅にまとめられてるのを見て
私はこらえきれずに…また泣いた…
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作者名：花 | 作成日時：2020年1月7日 19時
