いま愛を語ろう。 (ページ31)

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「………」

『もし嵐じゃなかったら､本気出していい話じゃね？

だって好きなんだから。嵐だからあきらめろって…そういうこと？』

「そうだよ…翔くん」

『………』

「やめとけって」

『いやだ』

「人のもんだからほしいとか…そういうことじゃないの？」

『ちがう』

「………」

『めちゃめちゃかわいかったんだよ…あのときの…彼女』

「結局もっかいやりたいだけじゃん」

『いいよもう…別にわかってもらおうとか思ってないから』

「翔くん…マジで…やめてあげなよ…」

『なんで？』

「だって…かわいそうじゃん…。そっとしといてやれって…」

『じゃあもう会えないじゃん。…ちょっと､それはありえねぇわ』

「…そんな顔すんなよ…なんか…昔の翔くんと話してる気分だよ…」

『このまま終わりにはできない』

「危険な男だなぁ…」

『………』

・

俺は智くんが帰ってからも､しばらくそこに座っていた。

煙草に火をつけて深々と煙を吸ったら､いらいらした気分が少し治まった。

あんな子がいたなんて…

今まで出会った誰とも似てない。

あの内側から滲み出すような魅力はなんなんだろう…

もしかすると…それは単純に…英才教育の賜物かもしれないし…

本人のたゆまぬ努力が生み出したものかもしれない。

とにかく２０年以上かけて彼女が身につけてきたもの…それが俺を惹きつける。

そしてあいつも…俺と同じ理由で…彼女に惹かれたはず…

・

それからもうひとつ。

あいつが彼女に夢中になる理由がわかった。
抱いてみてわかった…

驚いて…思わず『きつ…』って声が出た。
持って生まれた体の構造…

それをはじめて発見したのはきっとあいつだ。

どす黒い嫉妬が鎌首をもたげる…
嫉妬という名の蛇がとぐろを巻く…

・

あの時のことを考えると…

胸の奥に…こぶしで殴られたような衝撃が生まれる。

痛みと…興奮…

頭が痺れて…

欲しい欲しいって声が響く…

もう一度会いたい。

・

どうしても。

・

目を閉じて深く煙を吸い込んで…
ゆっくり…吐く…

・

どうすれば会える？

・

・

ゆり…