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カズくんはソファーに寝転んでテレビを見てたけど､私と目が合うと､あはって笑って起き上がった。
パチンとテレビを消して
『ここおいで』
って。
私はガラスボウルをひざに置いて､カズくんの隣に座った。
カズくんはまだちょっと笑った感じをほっぺに残したまま､ちらっといちごを見て…
『食べさせて』
って言った。
それから
『指じゃなくて唇でちょうだい』
って。
その『ちょうだい』がすっごくかわいくて…
私が
「ニノみたい(笑)」
って言うと
『ほんと？嵐になれる？(笑)』
って言って楽しそうに笑った。
私は唇でいちごをそっと挟んでカズくんに近づけた。
カズくんは私の肩に両手を置いて…首を傾けて…唇で上手にいちごを受け取った。
ゆっくり噛んで…
『めっちゃ甘い…花ちゃんにもあげる』
って言って､私の首の後ろに手を当ててキスをした。
温められて柔らかくなったいちごが､カズくんの口から私の口に移動する。
それはほんとうにお菓子みたいに甘くて…
うっとりするぐらいおいしかった。
カズくんは､また私にキスをして…
私の口の中で小さくなったいちごを舌ですくって持ってかえった。
見つめ合って…いちごを噛んで…キスして…わけっこして…
静かな時間がとろとろと流れていく…
薄く目を開けたまま､キスをするのは初めてで…
唇が合わさっていても…カズくんのアーモンドのかたちの目がいつもちゃんと見えていた。
ときどき…カズくんのまつげがほっぺに当たって…
甘い甘い気持ちになった…
そうやって､私たちは２０個ぐらいあったいちごを全部食べた。
カズくんと私と､いちごのキス…
そんな感じだった。
・
そのあと手をつないで眠った。
夜中に一瞬目を覚ますと､カズくんは私の手をしっかり握ったまま､ぐっすり眠ってた。
足のつま先も…カズくんが両足に挟んでくれてて…
あったかくて…嬉しくて…胸が震えた…
電話ではえっちなこといっぱい言ってたけど…
きっと今日はなんにもしないって…
私わかってた。
ありがとう…カズくん…
大好き…
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作者名：花 | 作成日時：2020年1月7日 19時
