#9 潤 ｢陽だまり｣ ページ25
潤side
短い午睡からふっと目覚めた。
窓の外は真冬の青空…
部屋の中は暖かで…
からだに巻きついたベージュピンクの毛布はゆりの匂いがする…
『ゆり…起きて…』
俺はからだを起こして､ゆりの背中を撫でた。
陶器みたいに白い肌…
毛先に柔らかいウェーブのかかった長い髪が片方の肩を覆ってる…
『…練習するんでしょ…』
「…うん…」
起きない…
女の子は…いったあとすごく眠くなるらしい。
それは生物学的に理にかなったことで…
じっとしていたほうが受精しやすくなるからだとか。
あれは誰が言ってたんだっけ…
ジュニアのとき……
たぶん…
翔くんかな…
・
ゆりの髪をなでて､寝顔を覗きこむ…
すべすべした頬にまつげの影が映ってる。
まるい唇はチェリーの色。
指先でチェリーを撫でたら…
ゆりは軽く握ったこぶしで俺の指を払った。
ふふ…かわいいな…
・
昨日､翔くんにゆりを紹介した。
ゆりはおとなしいから話弾まないかもって､ちょっと心配だったけど､全然大丈夫だった。
まぁ､翔くんが話上手の聞き上手だから､当たり前っちゃあ当たり前だけど。
英語で話したり､ピアノのことを話したり…
翔くんもゆりもすごく楽しそうで､俺も楽しかった。
ゆりは完璧だった。
服装も話し方も立ち居振る舞いも…
それに､箸の持ち方とかグラスの扱いがきれいで…
俺はゆりのことが自慢で仕方なかった。
翔くんにゆりを紹介できて良かった。
・
明日からしばらく会えない。
さみしいけど…仕事がんばってくるよ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花 | 作成日時：2020年1月7日 19時
