いま愛を語ろう。 (ページ17)

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「智くん､おかゆできたよ」

『おぅ…』

ベッドの上に体を起こした智くんの背中に枕を当てて顔色を診る…

悪くない…

「気分はどうですか？」

『えっちな気分です』

「もう(笑)…自分で食べられる？」

『食べれない』

「(笑)」

智くんの口にスプーンでおかゆ運ぶと､智くんは嬉しそうにぱくっと食べた。

『うめぇな』

って言ってふにゃりと微笑む…

茶髪が逆立って揺れている…

『朝って静かだね…ちさちゃん…』

「そうだね…誰もいないみたいだね…」

『うん…』

・

薬が効いたのか食事のあと智くんはぐっすり眠り込んだ。

おでこの小さなほくろを指先でそっと触ると､指先から高い熱が伝わってきた。

この人が好き…って…強く思った…

・

私は智くんを起こさないようにリビングのこたつをベッドの隣に運んだ。

ベッドにもたれて座ると､智くんの寝息が耳元で聞こえて､満たされた気持ちになる。

加湿器からはtea treeの香りの蒸気が音もなく立ち昇り…

窓の外には２月の冬空があった…

幸せな昼下がり…

・

・

耳を触られて私はまどろみから目覚めた。

智くんが手を伸ばして私の耳に触ってる…

『千咲子…』

「…ん？」

『呼んでみただけ…』

「うん…」

細い指先が耳の溝をなぞる…

『……ちさちゃん…』

「ん？…」

『…ずっといてくれる？』

「いるよ…今日の日勤を明日の夜勤に代えてもらったから…
明日の夜までずっといるよ…」

智くんは私の耳たぶをつまんで軽くひねった…

『…色白いね…』

手は耳を離れて首筋を撫で始めた。

４本の指で首の後ろを…

親指で､のどの骨を…

ゆっくりと…上から下に…下から上に…

…手が…すごく熱い…

智くん…

そんな風に触らないで…

『首…絞めたら…ちさちゃん､苦しいよね…』

「うん…苦しいと思う…」

『…ちょっとだけ…絞めていい？』

「…いいよ…」

のどを押さえる智くんの親指に力が入る…

私は目を閉じた…

『…やっぱ…やめとく…』

「…うん」

『ちさちゃん…』

「…ん？」

『…ずっとここにいて…』

「うん…ずっといるよ…」

智くんは私のほっぺを優しくなでた。

午後５時…

冬の空はもう夜の色に変わりつつあった。