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耳の奥に茉莉さんの甘い声が残ってる…
「嵐のニノがどんな声で歌うのか…花ちゃんは知ってる？５年前と違うところは？１０年前から変わらないところは？
…ファンの人はね…花ちゃんが知らないカズくんを知ってるの。
花ちゃんとは共有できないものをカズくんとファンの人は大切にしてる。
ファンの人は"共に闘ってきた同志"なのよ。
カズくんが嵐で居続けるために犠牲にしてきたことは私たちの想像を遥かに越えてたくさんあって…
犠牲は人を輝かせるから､カズくんが生身の人間だということを人はついつい忘れてしまうの。
偶像化してしまう…。
偶像と人間の間を行き来して嵐は生きてるの。
花ちゃんはね､カズくんの生身の部分だけと一緒にいられるのよ。
もちろん私も同じ…
カズくんもまぁくんも､たぶんリーダーも翔くんも潤くんも…時々向こうの世界の切れ端を､髪やからだにひっつけて帰ってくる。
わかるでしょう？
それはキラキラ光ってカズくんを眩しく見せることもあるし､違う人みたいに見せることもあるよね。
さみしいよね…そういうときって。
でもね…そういうときは､静かに見ていてあげてごらん…。
そうしたら…カズくんはきっと自分で上手に折り合いつけて､ちゃんと戻ってくるから…」
・
私､カズくんに…
ごめんなさいって言いたい。
・
隅々まで掃除して､時計を見るともう１０時をすぎていた。
私はダイニングテーブルで手紙を書き始めた。
そのとき､玄関のドアが開く音がした。
それから廊下を足早に歩く音…
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作者名：花 | 作成日時：2020年1月7日 19時
