ガーディアン・オブ・ストーリー！《1》 (ページ5)

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差し伸ばしたはずの手は、

なぜか無視された…

まぁ、15年間ずっと愛情を向けられるという経験をしてこなかったのだろうからな

こういうことには慣れていないんだよな…

とは分かっていながらも虚しいものだ…、

と、いき場のなくなってしまったばかりの手を下ろしながら複雑に考える

相「あぁ…、はい……、ではそれで…、お願いします」

収容所の受付で手続きを済ませ、彼女が後ろをついてきているのを確認して外に出た

＊

もう春なのに、少し肌寒い夜道を無言でひたすら歩く

こいつにとっては、初めての"外"なんだよな…

あぁ…、

くそ……、

……気まずい

相「…その荷物重いだろ

持ってやるから一つぐらい貸せ」

そう話しかけたものの、

先ほど握手を思いっきし無視するという、これからの関係にヒビを入れるようなことを初っ端からしでかすようなヤツだ

また無視されるのではと今さらながら心配になる

『……、

…べつに、大丈夫です

そこまで多い荷物でもありませんし』

しゃべった…

そして、まぁ予想はしていたが断られた…

"多い荷物でもありませんし…？"

いやいや…、トランク2つ分あるじゃないか…

お前の価値観おかしいわ…

相「いや…、でもな……、

俺は手ぶらなわけだし、お前あんま重い荷物持ち慣れていないだろ

こういう時ははおとなしく甘えときゃいいんだよ」

そういって彼女のトランクに手を伸ばそうとした

……が、

相「……っ!!」

手を近づけた瞬間に、ちょっとした痛みとともにはじかれたような感覚になった

なるほどな、個性、"拒絶"か……

彼女どころかトランクにすら手は触れていなかったはずだ

触れずとも発動できるなんて想像していなかっただけに、その汎用性の高さに驚かされた

……にしても、

うつむき気味のせいか薄い黒の髪に隠れてはいるが、

その下から覗いている橙の瞳がギラギラとあまりにも鋭く光っている

(まるで警戒心むき出しの野良犬じゃねぇかよ……)

――これから始まるであろう新生活に思わずため息をつきそうになった