秋桜 (ページ7)

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秋桜 -陸- ページ7

映：「意外と素直だね？」
臣：「はあ？うっせえな」
映：「うっさくないよ！ほんとのこと」
臣：「お前っ」

ほんとにうぜえやつだな！

そう言いかけてやめた

映月が下に目線を落としたから

夕陽がその表情を照らす
垂れ下がった前髪の隙間から顔を伺うと

っ…

なんにも…
なんにも考えてることが分かんねえ

声を掛けたくても
掛けたらいなくなんじゃねえかって
こいつも俺から離れてくんじゃねえかって

そんな考えが頭の中をぐるぐると回って
沈んだ太陽が残した光を包む空を写す視界が揺れる

映：「臣くん？」

こんな所でって
やめろ、やめろって

独りで必死に闘っていると呼ばれた俺の名前

臣：「っ！」

顔を上げると映月が心配そうに見ている

映：「どうしたの？」
臣：「…」
映：「？」
臣：「ううん、なんでもねえ」

映月の顔を見て落ち着いた

映：「そろそろ帰る？」

昼ごはんを食べようと出てきた今日も
気づいたら、4時

臣：「そうだね」

少しだけ名残り惜しそうに後ろを見る映月の目線の先には

夕陽で真っ赤に染まったコスモスが風に揺れていた