秋桜 -拾- ページ11
特にすることもなく
BGMの様に流れるテレビの音を聞き流しながら
ぼーっと天井を見つめていると
夕陽を浴びた映月の俯いた表情
それが生々しく蘇ってきて
突然にテレビの音が遠くなる
何故か蘇ったあの時の顔が
その記憶が
段々と俺を苦しめていく
映月と一緒に笑ってた時間が楽しくて幸せだった反面
独りで映月を思い出す時間が前よりもずっと苦しい
あの時間がとても幸せだったから
あの表情に昔を思い出してしまったから
苦しくなる理由はそれの筈なのに
何故かしっくりこない
何だろうか…
俺の呼吸を乱すこの苦しさは
幸せと対比した苦しさなんかじゃなくて
なんだかもっと
罪悪感とか後ろめたさとか
そうゆう感情に胸を締め付けられている感覚
もっと言うなら
雅のことが頭から離れなくなる
俺が、映月に雅を重ねてみてるから?
自分のことなのに、自分でも分からない
自分のはずなのに、自分が分からない
重ねてるわけがない
映月に出会って、あいつに恋をして
やっと前に進めるって思ったんだから
あいつを見る度に
心が暖かくなるんだから
違う、絶対に違う
そう自分に言い聞かせながら
この苦しさが消えるのを
冷たい部屋の中独り待った
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作者名:ベジタブルライフ | 作成日時:2018年8月19日 11時