無意味な慈悲【THE GHOSTFAITH】 ページ23
鼓動なんてもんじゃない、爆音だ。化け物が徐々に迫ってくるのがわかる。
ナイフの先端が闇にキラリと光り、ゴーストの顔が近づく。
Aはよろけながら、転びそうになりながらも必死にチェイスをしていた。
もう発電機は残り一つ。
後は誰も殺されないだけがただひとつの目標。
彼は、Aを弄んでいる。
あえてナイフが彼女に刺さらないようにわざと攻撃をはずしてAの歪む顔を堪能。そして、尽くす。それが日課。
『ぎゃあっ』
べちゃりと泥沼にはまり、Aは動けなくなった。
目前には、カメラを構えてこちらへ来る殺人鬼。どうやら見逃してくれる気はないようだ。
(ここで、私の逃走劇は終わり＿＿……)
「君は、いつも俺に殺されてるね」
ゴーストフェイスはナイフを捨てて、Aの顔を覗き込むようにしゃがむ。
今だけは欲望を抑え込む。
「そうか、そんなにマヌケで、役立たずなんだね」
『……＿＿＿』
なんだこいつは。
Aは悔しさで溢れ出る涙を必死に拭う。
あぁ、泣き顔なんて見せたくなかった。みっともないわ。哀れだなんて、思われたくない。
しゃっくりも出てきた。恥ずかしくて死にたい。
役立たずなんて、そんなにもストレートに言われたのは初めてだ。
「俺、君に使うナイフとみんなに使うナイフで分けてるんだ〜……君のナイフ、見たい？」
『………べ、別に』
「見たいでしょ？」
顔が至近距離にまでなる。
Aは黒い歪んだ目とは合わせずに、こくりと頷いた。そうすれば彼は「じゃあ特別に」と言い、ポケットからふたつのナイフを出した。
一本は、刃こぼれしていて、血生臭い。
もう一本は、綺麗で、油がのっているか分からないくらい輝いている。
「こっちが、A専用のナイフ。そっちが、みんなに使うナイフ。好きな女の子の血は、汚らわしい邪神にも近づかせたくないし、このナイフを持ってるとさぁ、すごいんだ。君がいつも、俺を抱きしめてくれてるみたいで」
淡々と話されても理解のできないA。
すると、A専用のナイフを持って、それをAの手に握らせた。
「一回だけ殺されてみたいなぁ、なんてね」
〈……To be continued〉→
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金魚きんぎょ(プロフ) - この作品好きです！リクエストなんですけれど、トリックスターとのお話いいでしょうか？ (2021年9月5日 14時) (
レス) id: fd80c7906a (このIDを非表示/違反報告)
金子氏(プロフ) - エニグマさん» こちらこそありがとうございました！細かいところに気を遣ったところもしっかり分かってくださって嬉しいです！ (2021年5月6日 7時) (レス) id: 5f47d57489 (このIDを非表示/違反報告)
金子氏(プロフ) - Nightさん» リクエストありがとうございます。リクエスト了解です！時間がかかるかもしれませんが、お待ち頂けると嬉しいです…！ (2021年5月6日 7時) (レス) id: 5f47d57489 (このIDを非表示/違反報告)
Night(プロフ) - えっと、追加で、、前回と同じ夢主でも大丈夫でしょうか？ (2021年5月6日 1時) (レス) id: f0b6c8446e (このIDを非表示/違反報告)
Night(プロフ) - 夜分にすいません。リクエストで、デススリと飲み比べしてるお話良いでしょうか？夢主はサバでお願いします！ (2021年5月6日 1時) (レス) id: f0b6c8446e (このIDを非表示/違反報告)
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