あの夏の花火 (ページ35)

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35 マフラーページ35

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ブルッと体が震えて、思わず、寒いね、っていうと、二宮和也は、自分のマフラーを外して私の首にグルグルと巻きつける。

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「いいよ。アンタが寒いじゃん」

私が言うと、二宮和也は、巻きつけたマフラーの端をおもいっきりギュッと締めた。

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ゲホッ。

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「ちょっと！！アンタねぇ！！」

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私が文句を言おうとすると、二宮和也は、キツく締まったマフラーを掴んで、マフラーごと私を引き寄せた。

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凍るように冷たい、二宮和也の唇が、私の唇に重なる。

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二宮和也の瞳の中に写る私を見て、色んな想いが頭の中をグルグルとまわる。

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「オマエなぁ。いい加減、俺の名前覚えろや」

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そう言って意地悪そうに笑い、私をそっと抱きしめる。

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覚えてるってば。

アンタだって私のこと、オマエって言ってるくせに。

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それにね。

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たけくらべも読んだよ。

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樋口一葉も覚えたよ。

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二宮和也の胸の中で、思う。

顔を見られなくて、よかったって。

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「A、名前で呼べや。アンタとか、もーいーわ」

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「…二宮和也」

「フルネームかよ。笑」

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カズナリが、嬉しそうに笑った。

～ｆｉｎ～

Happy birthday to Kazunari！！